episode6『仲直り・後編』
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在ではないのだ。日本全国に散らばる九つの製鉄師養成学園には多数の魔女が通っている事から分かるように、日本全国という限られた範囲で見ても魔女という存在は珍しいという程ではない。
ただの魔女ならばこんな風に追われる事も無かったのだろう。しかし、生憎と彼女はそうではなかった。
日の光を受けてさらりと流れる、白銀色の髪。透き通ったクリスタルを思わせる、同じく白銀の瞳。
魔女はその性質として、およそ10〜15歳程度の年齢で成長が止まるという性質に加え、魔女としての質が高ければ高いほど白に近づく髪と瞳を持つ。それに照らし合わせて見るならば、彼女のソレは至極の才。およそ魔女という存在の究極にも等しい次元へと達している。
皮肉にも、魔女の誰もが羨むだろうその才覚が、彼女の人生を狂わせたのだ。
――或いは、そんな誰もに羨まれる才覚があったからこそ、こうなっているとも言えるが。
「君があいつらから逃げ切るためには、製鉄師の目すら掻い潜るための力が要る。……酷な話だし、僕だってこんな事はあまり言いたくないけれど、この教会には、たぶん君もどの道長くは居られないと思う。正直、時間の問題だ」
「……やめて」
「もし仮になかなか君の捜査が難航したとして、そうなると次にあいつらはこう考える。『大まかな潜伏先が分かっているんだから、人探しに適した力を持った製鉄師を派遣すればいい』ってね。……いや、なんならもうそうしているかもしれない、別に消耗するわけでもなし、出し渋る理由なんてない」
「……やめて……!」
「彼らだって日本がずっと動かないなんて思ってないだろうし、仕掛けてくるならそれはきっと可能な限り早くになる。だから君は――。」
「……やめてって、言ってるの!」
突然に伸びた両腕が、シンの襟首を掴む。少し震えの混じった乱暴な手はしかし見るからに弱々しくって、手にこもる力も極小の一言に尽きた。
目尻に涙を浮かべたままシンを睨みつけるヒナミは、何かを叫ぼうとして言葉に詰まる。口を開いてはパクパクと開閉するのみで、溢れ出る感情の量に頭が追い付いていないのだろう、やがて諦めたように顔をくしゃりと歪めたヒナミはふっと力を抜くと、ぽすんと額をシンの胸に当てた。
それはどうやら、頭突きのつもりらしかった。
「わかってる、わかってるの……そんなこと」
トン、トン、と攻撃にもならない握りこぶしが、何度も何度もシンに当てられる。
それは八つ当たりだ、彼女の行き場のない恐怖と怒りを掘り返されたことによる、正当なる感情の発露だった。そしてシンにはそれを咎められず、同時にその八つ当たりを甘んじて受ける義務があった。
ヒナミは、ぼろぼろと頬に涙をこぼして、シンを睨みつけていた。
「…
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