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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
ANSUR X其は苛烈なる疾風の化身なる者〜Fjortseng〜
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瞬神の風矢(ソニック・エア)!」

最果て穿つ一矢(スナイプアロー)!」

フィヨルツェンは最速の風矢を射て、レンマーツォは自動装填される魔力矢を両腕の“シルカルデ”より射出。

疾光砲弾(シュネル・アングリフ)狙撃せし者(シャルフシュッツェ)!」

カノンは発射シークエンスが早い上に砲速も速く、さらに出力をそのままに光線状に細めた砲撃を発射。彼女たちは5kmと離れた標的を狙って撃っているのだが、生憎と私の肉眼では標的が見えない。

「どれどれ」

視力を魔力で強化して、「おお、百発百中だな〜」と感心する。フィヨルツェンとレンマーツォは、私とシェフィの2人で生み出した完全自律稼動人型魔道兵器・“戦天使ヴァルキリー”であり、狙撃を主体とする戦術を担う機体であるため、戦場の環境にもよるが最大で15km圏内を狙撃できる。それでも小さく動き続ける標的を、狙い外すことなく撃ち抜ける技量は2体の技術だ。

「カノンも、人の身でよくあそこまで確実に狙い撃てるな」

「それもこれもルシル様のおかげですから♪」

射砲撃の才能がずば抜けていたカノン。スポンジの如く教えた技術を瞬く間に吸収したため、教えている私の方が嬉しく、そして楽しかった。そんな彼女たちの自主練(最後の方は互いの狙撃を迎撃する、という危なっかしい練習になっていた)を見守り終えた頃・・・。

「お父様。実験機であるわたくしの・・・弓兵としての技術は、やはり劣っているのでしょうか? 」

フィヨルツェンが私の側に来て、重ねた両手を自身の胸に添えて聞いてきた。成績で言えばフィヨルツェンは最下位だった。1位はカノン、次いでレンマーツォ、そしてフィヨルツェン。最下位とは言っても1発も外さなかった。ただ、当たりはしたがど真ん中ではなかった、という話だ。

「1発も外さなかったじゃないか。大事なのはそこだぞ、フィヨルツェン」

「それは承知していますけど・・・。仮にも狙撃を主体とする機体の長子ですから、完成機とはいえ弟であるレンマーツォに負けるのは悔しいといいますか悲しいといいますか・・・」

「う〜ん、実験機と完成機と言っても、魔力量が違うだけで性能的にはさほど差はないんだ。お前もレンマーツォも、それだけでなくヴァルキリーみんな、日々アップロードして強化しているんだ。また後日、レンマーツォと競ってみろ。今日とは違う結果になるだろう」

フィヨルツェンの実戦経験を反映して生み出した後の狙撃主体機。その経験をフィヨルツェンに返してさらに強化。それを繰り返して“ヴァルキリー”は強くなる。

「本当ですか?」

「本当だとも。私とシェフィの自慢の娘であるお前に、嘘を吐くわけないだろ?」

でもカノンには負けそうだよな。あの子は別格だ
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