黒星団-ブラックスターズ-part4/初邂逅!
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サイトはシエスタに引きつられる形で、トリスタニアの街でデートしていた。
服屋、アクセサリー店、食品店、本屋…とにかくいろんな場所を連れ歩かされた。シエスタはサイトと久方ぶりに、ルイズ達がそばにいない分サイトを独り占めせんと、ウキウキしながら彼との二人きりの時を満喫していた。
「はい、サイトさん。あーん」
トリスタニアのある飲食店にて、二人は注文した食べ物を頬張っていた。食べているものはパンやスープ、ケーキ等のデザート。奇しくも地球でも見かけるものとよく似ている。
その会食の最中、シエスタがフォークで切り取ったケーキの欠片をサイトに差し出す。
「それは流石に恥ずいっていうか…」
サイトは照れるあまり抵抗感を示すがこれそれを聞いてシエスタは頬を膨らませる。
「ハルナさんにはしてあげていたのに…」
「わ、わかったわかった!」
これ以上シエスタの気を損ねたくないサイトは、女子に弱いこともあって断れなかった。地球では味わえなかった異性とのデートに、思春期男子としての本能に逆らえないことも否めなかった。
シエスタの差し出してきたケーキを平らげると、シエスタは次に自分の口元を指さしてくる。
「今度は私にも食べさせてくださいな」
「わかったよ。それじゃ…」
どこか諦めたようにも、しかし一方で悦びも味わいつつも、シエスタに向けて自分もケーキのかけらをフォークで刺して差し出す。シエスタは内心飛び上がる思いで、甘えるように口を開ける。
「あー「今回の目的を忘れたのか?」…」
だがそんな時であった。シエスタたちを咎めるような口調で、シュウが彼女を引き留めてきた。
「うわ!?シュウにテファ!いつの間に戻ってたんだ?」
「ねぇねぇ、リシュもいるんだけど?」
自分たちを覗き込むように見るシュウ・テファの二人に驚いたサイト。二人だけでなく自分のことも忘れるなと、リシュが下から膨れながら口を挟んでくる。
「あ、あぁごめんなリシュ。別に忘れてたわけじゃなくって…」
「…私はサイトさん以外お呼びにした覚えはありませんのに…
…っち、全くいいところで」
二人きりのはずだったのだが、今日はなぜかシュウ、テファ、リシュの三人とさらにもう一人と会う羽目になった。シエスタは露骨に不満を口にする。
(ヒェ…)
サイトの耳に、シエスタの口から出たとは思えない小言が聞こえてきた。トーンがやけに低かった。触れたらいけない何かを、怪獣の逆鱗のようなものに触れてしまいそうで怖い。キレたルイズたちにも引けを取らないものを感じるあまり、サイトは突っ込めない。
「し、シエスタさん…その、ごめんなさい」
今の一部始終を見てどう反応すべきか迷っているテファ、そして機嫌が悪くなるシエスタを見て少し怯えるリシュもいた。
「シーちゃん、さっき怖い顔してたね」
「リシュ、しー!」
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