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一発だけなら
第二章

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「こんな連中でも弁護士とかジャーナリスト出来るのかよ」
「どっちもどれだけ緩い世界なんだよ」 
「というか一発だけなら誤射か」
 この発言にも注目された。
「ミサイル撃ってもか」
「それで誤射なら許されるんだな」
「誤射なら人死んでもいいのか」
「逵本の論理だとそうだな」
「青樹の論理でもな」
「あいつ等もそれでいいんだな」
「誤射でな、ならな」
 ここから言うのだった。
「あいつ等に誤射してもいいな」
「一発だけならな」
「よし、じゃあ俺達も誤射やろうぜ」
「誤射やってやろうぜ」
 彼等が口々にこう言い合った、そしてだった。
 逵本の車を囲んでだ、一発ずつだった。
 バットや鉄パイプで打ったり蹴り飛ばした、するとだった。
 丁度車に乗って別の場所に行こうとした逵本が見て彼等に仰天して叫んだ。
「あんた達何やってるの!器物破損罪よ!」
「悪い、誤射だ」
「誤射だよ俺達の」
 彼等はその逵本に笑って返した。
「俺達一発しか打ってないぜ」
「一発しか蹴ってないぜ」
「一発だけなら誤射かも知れないんだよな」
「実際に誤射だぜ」
「誤射なら許されるよな」
「何言ってるのよ、これは立派な犯罪よ!」
 逵本は彼等に怒鳴り声で応えた。
「訴えてやるわ、覚悟しなさい!」
「だから誤射だよ」
「誤射ならいいだろ」
「そうだろ?あんたが言ったんだぞ」
「それならいいだろ」
 車を殴ったり蹴った者達は尚も悪びれずに返した。
「それともこれが誤射じゃないって証拠あるのかよ」
「誤射かも知れないって思わないか?」
「ミサイルもそうなんだろ?」
「実際俺達一発だけだぜ」
「そ、それは」
 逵本もそこまで言われては返答に窮した、そしてだった。
 彼等は笑って去った、その後も逵本の事務所の前で爆竹が慣らされたりロケット花火が撃ち込まれたが全部誤射だった。
 これは青樹も同じで。
 いきなりだ、彼は後ろからドロップキックを受けて倒れたが蹴った男は彼に対してへらへらと笑って言った。
「知り合いと間違えた、誤射だ」
「い、今のはわざとだ!」
「いや、一発だけだぜ」
 彼は笑って青樹に話した。
「それなら誤射かも知れないだろ」
「だからだというのか」
「そうだよ、誤射なんだよ」 
 怒る青樹に言うのだった。
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