第三章
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「いいな」
「それは守るわ」
「ならいい、俺の帰りを待っていてくれ」
「ええ、けれど」
妹は強い声でだ、兄に告げた。
「何かあれば私がいるから」
「俺の無事を精霊達に祈ってくれるか」
「そうさせてもらうわ、そして」
「そして?」
「兄さんを守るから」
だからだと言うのだった。
「絶対に」
「そうは言ってもお前は絶対にだ」
「軍勢にはよね」
「連れて行かないのにか」
「ええ、そう言っておくわ」
「どうするつもりかわからないがお前は戦わない」
兄は妹に笑って話した。
「それは絶対だぞ」
「それでもよ」
「言っている意味がわからないがまあいい」
カムズは妹が戦いたいと考えていることはわかった、だがそれでもそれ以上のことはわからずもういいとした。
それでだ、妹にあらためて話した。
「行って来る」
「ええ、じゃあね」
こう話してだ、そしてだった。
カムズは彼自身も軍勢を率いてそうしてだった、そのうえで戦場に向かった、だがアメリカの軍勢もだった。
確かな軍勢を送っていた、兵達は戦場に向かいつつ言っていた。
「シンディアン達が来るな」
「なら戦争か」
「連中はあくまで俺達と戦うつもりなんだな」
「じゃあやってやるだけだ」
「戦ってそして勝ってな」
「連中を皆殺しにしてやるか」
「そうだ、殺せ」
ジョージ=アームストロング=カスター中佐は自分が率いる兵達に対してこれ以上はないまでに強い声で命じた、鋭い眼光を放つ目に立派な口髭そして殺意を感じさせる顔立ちが嫌が応にも彼を目立たたせている。
「インディアンはな」
「いつも中佐が言われている通りですね」
「そうするだけですね」
「死んだインディアンはいいインディアンだけ」
「そういうことですね」
「アメリカ人は何だ」
カスターは兵達にこうも言った。
「それは知ってるな」
「他の国から来た人間ですね」
「それがアメリカ人ですよね」
「元からここにいた奴じゃない」
「そうですよね」
「そうだ、アメリカ人は俺達でだ」
カスターははっきりと言い切った。
「奴等はアメリカ人じゃないんだ」
「只の敵ですね」
「皆殺しにすべき敵ですね」
「それだけですね」
「そうだ、だから徹底的に殺せ」
インディアンならというのだ。
「いいな、全員だ」
「歯向かってくるインディアンはですね」
「誰もを殺すことですね」
「戦いになればですね」
「容赦なく撃ち殺すことですね」
「攻撃になれば躊躇するな」
それこそというのだ。
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