第四話「対話の後で」
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「…で?言い負かされて這う這うの体で逃げかえってきたわけ?」
「う、面目ないです」
識別名【SS】との対話から戻ってきた士道を出迎えたのは司令官モードの琴里からのきついお言葉であった。結局答える事が出来なかった士道はアリーナから出て行く彼女をただ見送る事しか出来なかった。いや、その気になれば士道は追いかける事が出来た。しかし、彼女の元に向かう前に見たASTの悲惨な光景と彼女から向けられた冷たい眼差しが士道の足を縫い付けているかの如く動かさせなかった。
それから数分後に彼女は消失したためラタトスクの空中艦フラクシナスへと士道は回収されたのだった。
「それにしても、彼女が言った言葉も尤もだわ」
琴里は悔しそうに顔を歪める。確かに今は何とかなっているとは言えいずれ精霊を封印していけばボロが出る可能性もあった。精霊と親しい関係になった者たちが正体を知った時果たして受け入れてくれるだろうか?それどころか化け物と忌み嫌う者がいても可笑しくはない。しかし、
「だからと言って精霊を救うのを辞める事はしないわ。そんなのラタトスクの存在意義に関わるもの」
精霊と対話しその力を封印する事で平和的な解決を目的に発足したラタトスク機関。力を封印された精霊が平和に暮らせるようにあらゆる準備は整えてきた。
「士道!彼女の言葉に思う事はあるかもしれないけど」
「分かっている。俺が諦めれば精霊を救う事は出来ない。そうなれば四糸乃みたいに争いたくない精霊を見捨てる事になる。俺は、そんな事は出来ない」
士道の言葉に琴里は笑みを浮かべる。
「よく言ったわ。それでこそ私のおにーちゃんよ」
例えどんなことがあろうと立ち止まるわけにはいかない。
「さあ、私たちの戦争を始めましょう」
天宮市にあるとあるビルの屋上。そこで彼女、【SS】は一人の女性と対峙していた。
「それで?一体何の用かしら、お嬢さん(フロイライン)?」
「いえいえ、特に大事な用はありませんわ」
女性は可笑しそうに唇をゆがめる。彼女は不快感を隠すことなく顔に出しながら右手に持った小銃を突き付ける。
「ならさっさと消えてくれる?私、貴方の近くに居たくないの」
「あらあら、随分と私は嫌われておりますのね」
「当たり前でしょ?ナイトメア」
彼女は女性、ナイトメアの報を見ながら警戒する。彼女がこの世で最も警戒する精霊。本来なら同じ町、いや国にすらいたくないと思っているが彼女の目的のためにも今出て行くわけにはいかなかった。
ならば、どうするか?簡単である。追い出すだけである。
彼女は躊躇なく引き金を引く。体に響く
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