四十九枚目
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「こんにちは、八坂真尋さん。我が主がお呼びです」
中学二年生になって直ぐの頃、八坂真尋はクラスメイトから呼び出しを受けた。
真尋を案内するのは龍下哲という男子生徒だ。
茶髪で明らかに日本人の顔つきではない。
「我が主って?」
「来ればわかりますよ」
哲はおどけたような口調で真尋を案内する。
「八坂さん。貴方オカルトは好きですか?」
「オカルト?」
「ええ、これから案内する場所は神話や伝承について調べる研究会ですから」
「研究会……」
なにやら不穏なワードのように聞こえ、真尋が躊躇う。
「ああ。ご心配なく。可笑しな宗教団体とは違いますよ。まぁ…本物ですからね」
「?」
「ご安心を。貴方を呼び出した我が主は神話伝承研究会の会長を務める姫島篝様ですから」
「あー。篝さんか。なら可笑しなことにはならないか…」
姫島篝の名前は中等部だけでなく高等部や初等部でも知らない人はいない。
そして、常にその隣にある人も。
「じゃぁヴァーリさんも研究会の人?」
「ええ、姫島ヴァーリ様は副会長を務めております」
真尋が連れていかれたのは、本校舎から離れた場所にあるプレハブ小屋だった。
「こ、ここが部室なの?」
「ええ、そうです」
哲がプレハブ小屋の引き戸を開け、真尋を案内する。
「え!?」
真尋が入った場所は、到底プレハブ小屋とは思えない広さの場所だった。
正面には三匹の龍が絡み合うステンドグラス。
左右に伸びる廊下。
まるで城か屋敷のような場所だった。
「龍下くん!?」
真尋が哲に説明を求めようとしたときには、もう哲は居なかった。
どころか、振り返った場所にあったのは荘厳な扉だ。
わけがわからず、真尋は扉を開けて飛び出した。
そしてやはり、そこはさっきまで歩いてきた学校の敷地ではなかった。
目の真にあったのは穏やかな水。
それが海なのか湖なのかは真尋にはわからなかった。
なぜならどこまでも続いているから。
さらにはプレハブ小屋だったはずの建物は巨大な館へと変貌していた。
「ど、どこだよここ…」
「何か用か?」
「うわぁっ!?」
いつの間にか、真尋の隣にはメイド服を着た青髪の美女が居た。
「んー? お前人間か? どうやって入ってきた?」
「え、えと……さ、哲君に…」
「ああ……なるほど。そういうことか」
青髪の美女…カラワーナが額に手を当てる。
「あのクソ主人……」
ため息をついた後カラワーナが屋敷へ入っていく。
「そこの人間。ついてこい」
またどこか訳のわからない場所につれていかれるのかと思
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