四十九枚目
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った真尋だが、他に宛てもないので大人しくついていく事にした。
「私はカラワーナ。ご主人様…姫島篝の部下だ」
「ぶ、部下?」
「いずれお前も同僚になるだろう」
「え?」
扉の正面の階段を登り、二階へ。
「こっちだ」
とカラワーナに案内される真尋だったが、その反対側を見てしまった。
「っ!?」
視線の先、廊下の突き当たりの窓際。
そこに椅子とテーブルを置いてチェスをしているのは学校でも見覚えのある顔だった。
ただし、物々しい翼や尾や手足を持ち、頭に角と光輪を持っている。
「ん? ああ。まぁ、慣れろ」
「いやいや。おかしいだろ!?」
「なに、すぐにお前の中でも日常になるさ。八坂真尋」
そして案内されたのは、シンプルな扉の前だった。
「中にご主人様が居る。まぁ、余程の事をしなければなにもしてこない………はず」
カラワーナに背中を押されて、真尋が扉を開けた。
「フゥ━━━━━ハハハハハハ? よく来たな八坂真尋よ!」
「えぇ!?」
なんと中に居たのは、漆黒の翼を広げ、物々しい黒い鎧に身を包んだ篝だった。
「人間界をわが手中に収める為っ! 貴様の力を振るって貰おうではないかぁっ?」
ビシィッ! と真尋を指差して決めポーズをそている篝。
「「…………………」」
コツコツコツ、とカラワーナが篝の隣に行き……。
目にも止まらぬ速さで蹴飛ばした。
「ほにぇぇっ!?」
篝はそのままぶっとばされ、ガシャンと窓から飛んで行った。
「ふぅ…。ウチのキングが失礼した」
「待て、展開が謎過ぎるだろ!?」
「アレの悪ふざけは何時もの事だ。今回は切迫してないしな」
とカラワーナが言った次の瞬間。
「ハァイ、元気?」
「ぎゃああぁぁあぁ!?」
真尋の真後ろから声がした。
振り向いて、その勢いで尻餅をつく真尋。
「レイナーレ。お前何処に居たんだ」
「え? さっきからこうして驚かすタイミングを図ってたわよ?」
レイナーレの格好はカラワーナと同じメイド服だが、その四肢は物々しい鎧に覆われている。
角、光輪、尻尾、翼とおよそ人とは思えないパーツもついている。
「うぉー…いてて…。いきなり蹴るなよなカラワーナ」
真尋が再び振り向くと、窓の外で篝が浮遊していた。
そのまま割れた窓ガラスを更に割りながら入ってくる。
そして、真尋の目の前に立ち…。
「やぁ、初めまして八坂真尋君。さっきは悪ふざけに付き合わせて悪かったね」
と篝が差し出した手は、鎧ではなく生身だった。
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