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ある晴れた日に
589部分:誰も寝てはならぬその七
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誰も寝てはならぬその七

「どうなっても」
「諦めないんじゃなかったの?」
「無理よ、もう」  
 もう言葉が耳に入らなくなっていたのだった。
「だから、私」
「おい、待てよ」
 春華が立ち上がった彼女に声をかけた。
「何処行くんだよ」
「私、もう無理」
 今にも割れてしまいそうなその顔での言葉だった。目も滲んでいて顔の色も真っ白なままだ。
「あんなのとやり合えないし未晴のことも無理」
「馬鹿言うなよ、おい」
 ここで春華も激昂して席を立った。
「未晴のこと見捨てるのかよ。うち等そんな簡単な関係だったのかよ」
「それでも無理、私もうできない」
 春華がどう言ってもだった。最早。
「未晴も元に戻してあげられないし、だから」
「待てよ」
 しかしだった。奈々瀬は突発的に背を向けてしまった。そうしてそのまま教室から逃げ去ってしまったのだった。
「待てよ、奈々瀬!」
 春華がその彼女を呼び止めようとする。しかしそれは無駄だった。
 彼女はそのまま教室から出てしまった。春華はそれを見てすぐに後ろの静華達に声をかけた。
「行くぞ、すぐに追い掛けるんだ!」
「けれど、春華」
「奈々瀬の言葉聞いたよね」
 だが。静華と凛に普段の勢いはなかった。見れば彼女達もその場に俯いて座ったままだった。動く気配は何一つとしてない状況だった。
「あいつがとんでもない奴だって」
「それによ。奈々瀬だって未晴のこと大事に思ってきたんだよ」
「だからじゃねえかよ」
 その二人にも言う春華だった。
「追い掛けるんだよ、今すぐな」
「追い掛けてどうにかなるの?」
「奈々瀬が」
 二人は立ち上がろうとしない。俯いたままだった。そのままで春華に告げていた。
「それで」
「どうにかなるっていうの?」
「おい、何だよ」
 春華は怪訝な顔になった。そうして二人に身体を向き直させてそのうえで問い返したのだった。
「それじゃあよ、あれか?二人共奈々瀬と一緒かよ」
「一緒っていうか」
「それは」
 項垂れた声の二人だった。それはどうしようもない響きだった。
「けれど、そんなやばいの相手にするなんて」
「未晴も。あんなのじゃ」
「おい、うち等何なんだよ」
 春華の憤懣は二人にも向けられた。
「未晴の友達だろ!?ずっと一緒にいたんじゃねえか」
「そんなのわかってるわよ」
「未晴のことは」
 わかっていると返す二人だった。やはり項垂れた声である。
「けれど。それでも」
「あんなのじゃ」
「おい咲」
 二人が話にならないと見て咲に声をやったのだった。
「どうなんだよ、奈々瀬追い駆けに行くよな」
「・・・・・・・・・」
 だがその咲もまた。俯いてしまっていた。そして自分の席から動こうとしない。
「少し考え
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