第二章
〜 Epilogue 〜
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四人は顔を見合わせた。
確かに、アリシア自体は消え去った。だが、彼女は置き土産を残していった様で、それは養父…シュテンダー侯爵でさえ唯事ではない代物だと考えているのである。
「分かった。」
そう短く返答するや、ルーファスは三人を連れて直ぐ様シュテンダー侯爵の館へと向かったのである。
四人が館へ到着するや、玄関から意外な人物が顔を見せた。
「シヴィル!?」
「変顔するでない!事は急を要する。直ぐにゾンネンクラールへ飛ぶぞ!」
「はっ!?また何かあったんかよ。」
「あったから行くに決まっとろうが!ほれ、早ぅせんか!」
四人は急かされて、マルクアーンの言うがままに移転の間へと向かうが、その最中に聞かされたこと…それは四人の顔を曇らせるには十分であった。
ー ブリュート・シュピーゲルの復活…。 ー
現存する妖魔中では、最早最大級の大妖魔である。
「恐らく…アリシアは己が滅びたと同時に封が解かれる様にしとったのじゃろう。全く…次から次へと厄介事を起こしおって。」
そう言いつつ移転の間へ入ると、そのままゾンネンクラールの王城へ飛ぶようルーファスを促し、ルーファスはそれに応えて詠唱するや…五人の姿はそこから消えたのであった。
「もう!何で挨拶一つなしで行っちゃうのよ!」
一足違いで駆け付けたマリアーナ・シュテンダーは憤慨するが、それを夫フェリックス・ミカエリス・フォン・シュテンダー侯爵が宥めた。
「何、直ぐに戻るだろう。恨み言は帰ったらゆっくりすれば良い。」
「そうね…。でも、あの事を…話すんでしょ?」
「ああ…。コアイギス殿は我らも呼び、全てを話すと言っておられた。」
「そう…そうね。あの子ももう立派な大人なんだし、受け入れられる歳よね…。」
そう言ってマリアーナは夫に寄りかかる。
「案ずるな。必ず良き方へ向う。」
「ええ…そう信じているわ…。」
二人は抱き合い、再び旅立った息子を案じて、遠くゾンネンクラールへと目を向ける。
ただ一心…息子の無事を祈りながら…。
第二章 完
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