第二章
〜 Epilogue 〜
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アイギスはそれを知っていた。故に…コアイギスは友であるシヴィッラの前では絶対に、ゾンネンクラールの話はしてこなかったのだ。
友の…マルクアーンの傷は癒えることはない。時の止まったその身では…。
「のぅ、ベル。もうあの事を…アーダルベルトへ伝えても良かろう。」
「…!」
コアイギスは一瞬、その言葉に躰を強張らせた。
「もう隠す必要もあるまい。弟子のヴィルベルトでさえ気付いておる。話してそれを受け止められるだけの器に育て上げたのはお前じゃ、ベル。」
「そう…だな…。余計な者に暴き立てられる位ならば、私の口から直接告げる方が良いかも知れんな。」
そう言うやコアイギスは窓辺へと立ち、遠きミルダーンへと視線を向け…そして、決意した。
「アーダルベルトを呼び戻す。」
その頃、ルーファスらはミルダーンを出て、リュヴェシュタンへと向かっていた。
ミルダーンの方は大公が全てを仕切って、事後処理は概ね終わっていた。
今回の件では、大公から各自に褒賞と爵位が贈られたが、ルーファスには伯爵、ウイツとヴィルベルトには男爵の位が贈られ、彼らはミルダーンでは貴族として扱われることとなるが、忠誠を誓わされた訳ではない。飽くまで、ミルダーンはこの三人を称え、有事の際には後ろ楯になることを約束したものである。
「爵位なんて要らねぇっつってんのによ…。爺さん、無理やり押し付けやがって…。」
「師匠。孫みたいに思っていたから、きっと何かしたかったんじゃないですか?師匠とウイツさんは兎も角、僕なんかにも男爵位を贈って下さって…本当に嬉しかったです。」
「そうだぞ?ルーは元々侯爵家の出だが、お前本人が爵位を持てば、例え他国であれ母君だって鼻が高いと思うが?」
「そうです!我が主殿が立派になれば…私も美味しいめのが…おっと、よだれが…。」
その容姿でよだれを拭くアルモスに、周りの三人は思わず吹き出し、当のアルモスも笑った。
何とも可笑しなパーティーであるが、この三人と一柱は、この先でも互いに信頼しあえる仲間になるのであった。
だが、この大陸には未だ問題が山積している。それ故、彼らは一旦リュヴェシュタンへと戻り、再び旅に出ることを話し合っていた。
そして何より、ルーファスはヴィルベルトの第七修をコアイギス立会の元で行う腹積もりであったため、少しばかり先を急いでいたのである。
ミルダーンを立って三日後、ルーファスらはリュヴェシュタン国内へと入った。彼らはそのまま王都に向かうつもりであったが、シュテンダー領内へ入るや検問で呼び止められてしまった。
「アーダルベルト様、シュテンダー侯爵様より急ぎ戻られたしと申し遣っております。」
「はっ!?親父がか?」
「はい。今回の一件に関わることなので、必ず伝えよとのご命令でして…。」
それを聞き、
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