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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
幼馴染との同棲
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い珈琲の味と清涼なシャーベット状の食感のみに満たされていった。
そんな一段落が付いたところで、自分はおもむろに口を開く。それは白雪に対してだった。


「ところで──白雪と初めて会ったのは、いつ頃だっけ?」
「えっ? えっと……武偵校の入学式で、だよね。あっくんはキンちゃんと一緒に話してた」
「あぁ、そっか。その時だったんだ。キンジに中学時代から『幼馴染にこういう子が居る』って白雪の話は聞かされていたんだけれどね、実際に会ったのはこの時が初めてか……。ふぅん……」


ご機嫌そうにパピコを食べているアリア以外の2人──白雪とキンジは、「やにわに何を言い出すのだろうか」とでも言いたげな顔付きをしていた。見合わせている2人に向けて微笑する。


「思い返してみれば不思議なことに、白雪の前では1度も陰陽術を使ったことがないんだ。特に意図して避けているというわけでもないんだけどね。ちょうど良い折だから、白雪にはここである程度を説明しようと思うんだ。先を見据えれば、必要になってくる知識だとは思うしね」


白雪だけに説明しないのも不公平だと感じるし、《魔剣》から彼女を保護するという依頼を、キンジが教務科から直々に受けた今だからこそ──自分やアリアがその取り巻きだとしても、戦況を覆すほどの切り札があるのならば、一部なりともそれは伝えておかないわけにはいかない。


「キンジは、如月彩斗について云々──と何か説明した? 白雪に対して」
「いや、何も。中学時代の強襲科の親友だってことを話したくらいだな」
「じゃあ、そうだね……。陰陽術と本家のことについて、少しだけ説明しようか」


そう言うと、白雪は静かに頷いた。


「自分の両親はね、2人とも本家が京都府にあるんだ。同一の高名な一族だよ。その系譜に固有の能力があって、その例がさっきの時空間移動術式である《境界》だね。他にも《五行陰陽》という妖術や、銘のある大刀契という妖刀も、この一族に固有のものになっているわけだ。本家とおおよそ6つの分家で成り立っていて、自分はその本家の人間。最低限の陰陽術を扱えるのも、その系譜のおかげだよ。……そろそろお気付きかな? この一族が、どんな名の一族なのかを」


彼女は沈黙していた。──否、黙考しているのだろう。


「土御門一族、その始祖を安倍晴明という。自分はその、38代目だよ」
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