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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
幼馴染との同棲
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で会うことなどは殆どしないし、大抵はキンジも一緒に居る。とはいえ1度も陰陽術を使用する機会が無かったというのも、これまた面白い話だ。キンジが彼女に教えているならば、話はまた別なのだけれど……。説明の機会を設けた方がこれからには良いだろう。

そんなことを考えながら、軽トラックの傍らで財布の整理をしているらしい武藤に歩み寄る。


「ありがとうね、助かったよ。どうやらキンジが君に話を持ちかけたらしいけれども」
「おう、何かあったらまた気分次第で手伝ってやるよ。……とはいえキンジも馬鹿だよなぁ。俺じゃなくてお前に頼めばよかったろうが。あの変な超能力、物を移動できんだろ?」


武藤は苦笑すると、自分の背後にある《境界》を指さした。恐らく彼は、車での運搬をするよりも《境界》を経由させた方が格段に早かった──と言いたいのだろう。確かにそれはそうだ。


「あはは、まぁね……。でも荷物の運搬は、車輌科の君に──っていう観念があったことは間違いないでしょう? 信頼されているだろうから、それは喜んでもいいんじゃないかな。出来る限り、前向きに物事は考えた方がいいよ。そっちの方が逆よりもだいぶん幸せでしょう」
「ははっ、それはそれで悪くないな。感謝するぞ、人生カウンセラーさんよ。んじゃな」
「うん、バイバイ」


武藤は軽トラックの運転席に座ると、ご機嫌な様子で車を走らせていった。排煙の立ち込める臭いを手で振り払いながら、不意に今日の日付を思い出す。そうして考えてみると、既に2年生の折り返し地点に入りかけてるのではないか。アリアと出逢い、キンジと共に居ながらこうして生活してきて──数ヶ月。そして今日、キンジの主導する依頼のために白雪が新たに加わった。

その依頼の内容を見ても、いつまで平穏が続くだろうか──と熟考してしまうのに変わりはない。都市伝説的な存在である《魔剣》を始めとして、《武偵殺し》こと峰理子、果ては《教授》と名乗った件の男性に至るまで、これらは全て、裏で繋がっていると考えても良いだろう。
峰理子と《教授》に緊密な関係があることは、既に証明されている。それならば、《武偵殺し》騒動の入れ替わりのように現れた《魔剣》にも、その可能性が見て取れるのだから……。

だとすれば、必然的に事は動き出す。その猶予は思うほど長くはないだろう。白雪をこうしてキンジが護衛するというのも、教務科の過保護などでは到底なくて、最善手なのかもしれない。その周囲に自分とアリアが控えているのも、ある意味をして僥倖と言えるのかもしれない。
裡面に暗躍する《イ・ウー》の断片を、この白昼の最中に垣間見た気がした。







扉の1枚を挟んだだけで、今の今まで感じていた炎天下の煩わしさも一挙に解消してしまった。取手を後ろ手に閉めな
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