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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
幼馴染との同棲
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いるらしい。こちらとしては取り敢えず安心した。白雪が同居人として加わったならば、恐らくはそこまで大きな騒ぎも起こらないだろうと思われる。
「んじゃあ、星伽さんがそこまで言うってんなら……。無下にするのも悪ぃってことで」
「あっ、ありがとうございますっ! それじゃあ、これ……。せめてものガソリン代……」
そんな声が聞こえてきたのは、荷物を全て運び終えた直後だった。
「よし、向こうも終わったみたいだから撤収といこうか。ありがとうね、アリア。助かった」
「ううん、このくらいなら別に構わないもん。何かあったらまた手伝ってあげる」
「そう。楽しみにしておくね」
「じゃあ、アタシもう戻るわね。暑いし、喉が乾いちゃって……」
「うん、ありがとう。ソファーの上に寝転がっててもいいから」
アリアは気だるげに頷くと、「あっつーい……」と呟きながら手扇を扇いでいた。よく見ると額には薄膜が張ってあって、そこに前髪が幾らか貼り付いている。そのままリビングの方へと戻る彼女の後ろ姿を見送りながら、自分も額に滲んでいた汗を、伸ばした指先で拭いとった。
「最近、彩斗とアリアは仲良くなったよな。先月よりもずっと」
「それ、君が言えることじゃないと思うよ。キンジと白雪の方が、よほど仲良く見えるもの」
「そうか?」
「うん、そう見える。2人の関係とか君の心境の変化とか、何かあったの?」
そう問いかけると、キンジは僅かに沈黙した。何かを言いあぐねているような風には見えなくて、原因を探っているように見える。どうやらそこに関しては、本当に無自覚らしい。
「彩斗から貰った本は、暇な時間に読んでるが……」彼はそう零した。あれは始業式の日に自分がキンジに渡した、恋愛系の書籍だったろうか。未だに読んでいたことにも少し驚いたね。
「じゃあ、その影響でしょう。無意識的に内容を記憶していて、無意識的に行動している──まぁ、君たちは幼馴染なんだから、少しは仲の良さそうにした方がいいんじゃない?」
そう返答すると、キンジは「まぁ、それもそうか」と苦笑した。
それから白雪と武藤の会話が落ち着いた頃合いを見て、彼女に向かって手招く。
「おい。お前の荷物は全部運んでおいたから、早く中に入るぞ。この日差しだ。暑いだろ?」
「うんっ。ありがとう、キンちゃん」
「その呼び方で──まぁ、いいや。もう面倒だ。さっさと行こうぜ。俺も暑いから」
白雪は大きく頷くと、武藤に向かって慇懃にお辞儀をした。そうしてキンジの方に駆け寄ると、目の前にある《境界》に少々たじろきながらも彼に連れられて部屋に入っていく。
思うに、白雪に陰陽術の存在を知らせたことは──未だかつて無かったように感じる。白雪に会ったのは去年だ。単独
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