暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
幼馴染との同棲
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いるらしい。こちらとしては取り敢えず安心した。白雪が同居人として加わったならば、恐らくはそこまで大きな騒ぎも起こらないだろうと思われる。


「んじゃあ、星伽さんがそこまで言うってんなら……。無下にするのも悪ぃってことで」
「あっ、ありがとうございますっ! それじゃあ、これ……。せめてものガソリン代……」


そんな声が聞こえてきたのは、荷物を全て運び終えた直後だった。


「よし、向こうも終わったみたいだから撤収といこうか。ありがとうね、アリア。助かった」
「ううん、このくらいなら別に構わないもん。何かあったらまた手伝ってあげる」
「そう。楽しみにしておくね」
「じゃあ、アタシもう戻るわね。暑いし、喉が乾いちゃって……」
「うん、ありがとう。ソファーの上に寝転がっててもいいから」


アリアは気だるげに頷くと、「あっつーい……」と呟きながら手扇を扇いでいた。よく見ると額には薄膜が張ってあって、そこに前髪が幾らか貼り付いている。そのままリビングの方へと戻る彼女の後ろ姿を見送りながら、自分も額に滲んでいた汗を、伸ばした指先で拭いとった。


「最近、彩斗とアリアは仲良くなったよな。先月よりもずっと」
「それ、君が言えることじゃないと思うよ。キンジと白雪の方が、よほど仲良く見えるもの」
「そうか?」
「うん、そう見える。2人の関係とか君の心境の変化とか、何かあったの?」


そう問いかけると、キンジは僅かに沈黙した。何かを言いあぐねているような風には見えなくて、原因を探っているように見える。どうやらそこに関しては、本当に無自覚らしい。
「彩斗から貰った本は、暇な時間に読んでるが……」彼はそう零した。あれは始業式の日に自分がキンジに渡した、恋愛系の書籍だったろうか。未だに読んでいたことにも少し驚いたね。


「じゃあ、その影響でしょう。無意識的に内容を記憶していて、無意識的に行動している──まぁ、君たちは幼馴染なんだから、少しは仲の良さそうにした方がいいんじゃない?」


そう返答すると、キンジは「まぁ、それもそうか」と苦笑した。
それから白雪と武藤の会話が落ち着いた頃合いを見て、彼女に向かって手招く。


「おい。お前の荷物は全部運んでおいたから、早く中に入るぞ。この日差しだ。暑いだろ?」
「うんっ。ありがとう、キンちゃん」
「その呼び方で──まぁ、いいや。もう面倒だ。さっさと行こうぜ。俺も暑いから」


白雪は大きく頷くと、武藤に向かって慇懃にお辞儀をした。そうしてキンジの方に駆け寄ると、目の前にある《境界》に少々たじろきながらも彼に連れられて部屋に入っていく。
思うに、白雪に陰陽術の存在を知らせたことは──未だかつて無かったように感じる。白雪に会ったのは去年だ。単独
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ