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逃げ切ること
第一章

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               逃げ切ること
 ウングラニ=ホンワナとジマール=ファラーは今はホンワナの神託でモザンビークのベイラに来ていた。
 そこに入るとだ、ホンワナはファラーにこんなことを言った。
「嫌な感じがするな」
「そうなのですか」
「どうもな」
「土は何も」
 ファラーは靴から伝わる大地の声、鉱夫故に感じるそこから述べた。
「言っていませんが」
「災害とかやなくてな」
「また別のことですか」
「これは」
 怪訝な顔でファラーに話した。
「人の気配っていうか」
「そちらの勘ですか」
「そや、そこからな」
 どうかというのだった。
「何か感じる、それでな」
「その嫌な感じがですか」
「気配としてな」
 まさにそれでというのだ。
「ありそうやな」
「左様ですか」
「まあそんな感じやが」
「今はですね」
「自分の神託のこともあるし」
「その神託を探す為に」
「ギルドに行こうか」 
 こうファラーに話した。
「そうしよか」
「それでは」 
 ファラーはホンワナのその言葉に同意して頷いた、そうしてだった。
 二人でベイラの冒険者のギルドに旅の冒険者だと素性を隠してそのうえで入って神託でありそうな依頼を探した、すると。
 ホンワナはある依頼を見てファラーに話した。
「マプートまで連れて行って欲しい」
「護衛をして」
「陸路でな」
「ベイラからマプートまでやと」
「結構な距離や、これがな」
「貴方の神託だとですね」
「思う、それでな」
 嫌な予感がする、それでもと言うのだった。
「自分の神託やと思うから」
「それで、ですね」
「受けるわ」
 こうファラーに話した。
「そうするわ」
「左様ですか」
「そしてな」
 さらにだった、彼は話した。
「この依頼を果たすで」
「そうしますか」
「是非な」
「それでは」
 こう話してだ、そしてだった。
 二人でギルドの事務所に依頼を受けると答えてだった、ギルドの事務員に依頼主のダイアナ=エルゼという名の人物の居場所を紹介してもらった。その居場所はというと。
 ベイラの駅前の交番だった、警官は二人が来るとすぐに一人のフェアリーの女性を紹介した。見ればその女性は十星連合モザンビーク警察の制服を着ている。
 その彼女がだ、真剣な顔で二人に話した。
「私の名前はダイアナ=エルゼと申します」
「本名でギルドに依頼を出したんか」
「はい、実はこのベイラで麻薬組織の潜入捜査をしていましたが」
「確かな証拠でも掴んだか」
「そうです、ですが」
「その証拠がやな」
「あまりにも組織にとって致命的なものなので」
「あんたの命を狙ってる」
「そして証拠もです」
 婦人警官、婦警はさらに話した。
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