第百五十九話
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第百五十九話 歌と酒と
カーミラは雪路をある高級レストランに案内した、雪路はその店に入ってすぐにカーミラに対して言った。
「あの、幾ら何でも」
「どうしたのかしら」
「このお店は高いのでは」
「私にとっては何でもないわ」
カーミラは雪路に微笑んで答えた。
「別にね」
「そうなのですか」
「私には資産があるし。それに」
「それにといいますと」
「私はお金は幾らでも生み出せるものだから」
「そうなのですか」
「ええ、色々とね」
錬金術や使い魔達が行っている株等は内緒にしての言葉だ。
「だからね」
「こうしたお店もですか」
「何でもないわ。だからね」
「お金のことは」
「気にしないで。それでね」
「今からですね」
「食べて」
そしてというのだ。
「飲みましょう」
「このお店でもですね」
「ワインをね。しかもこのお店で飲むワインは」
そちらの話もだ、カーミラはした。
「貴腐ワインよ」
「あの甘い」
「ええ、トカイよ」
ハンガリー産のこのワインだというのだ。
「このワインを飲みましょう」
「トカイとは」
「貴女も知ってるわね」
「あまりにも有名ですから」
こうカーミラに答えた、既に二人用の席に着いているその中で。もうメニューはカーミラが注文していた。
「私も」
「そしてそのトカイをね」
「ここで、ですか」
「飲みましょう。いいわね」
「それでは」
「これで終わりだから」
カーミラはこうも言った。
「だから最後はね」
「トカイですか」
「これで終わらせましょう」
雪路に優しい笑みで話した、そしてだった。48
二人は食事をはじめた、まずはサラダが来てだった。そしてその後でそのトカイが運ばれてきたのだった。
第百五十九話 完
2019・5・16
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