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渦巻く滄海 紅き空 【下】
二十六 親睦
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感を覚える。

「随分…他人事のように言うんだな」
「まぁ俺らには当てがあるからな」


ふ、と誰かに思いを馳せるように、遠くに視線をやる二人。
温泉街のあちこちで立ち上る白い煙の向こう、遥か彼方を見るようなその目線に、シカマルは眉間に皺を寄せた。

だが、シカマルが再度質問するより前に、ザバリと身を起こした左近と鬼童丸は「そろそろ出るぜよ」と湯船から出る。


「お前もさっさと温泉から出ろよ。湯冷めしても知らねぇぞ」

そう言い捨てて、背を向ける左近と鬼童丸を、シカマルは思案顔で見送った。

(呪印を解呪する見込みでもあるのか…?)


それとも────解呪できる誰かがいるのか。





思わず熟考して長湯しそうになったシカマルは、竹垣の女湯のほうから恥ずかしげもなく「おーいシカマル〜!いるってば〜!?」と自分の名前を呼ぶナルの声で、温泉に顔を突っ伏した。

周りの男性客からにやにやと「彼女かい?」と揶揄され、顔を真っ赤にしたシカマルは「あの…超バカ…!」とお湯の中で悪態を吐いたのだった。




























薄暗い部屋の壁に、額縁が飾られている。
たくさんの絵が壁に掛けられている様は、さながら美術館のようだ。

しかしながら、それらはどれもタイトルが無い。
無題の絵ばかりの部屋は美術館のように見えても、やはりどこか殺風景な室内だった。

絵の具や筆が置かれた机上で、持ち物を整理していたサイはふと、小さな絵本に目を留める。
それに気を取られた一瞬、背後から風を切って刃物が迫った。


「腕は鈍ってないな。それでいい。いつ何時も気を抜くな」

同じく刃物で受け止めたサイに、襲い掛かった仮面の男が忠告する。
同じ『根』所属の先輩の言葉に、サイは素直に頷いた。


「なんです、先輩?」

藪から棒に襲い掛かってきた先輩を、サイは胡乱な眼つきで見遣った。
たかが忠告の為だけに自分の許へ来るはずがない事はとうに知っている。

サイの怪訝な視線を受けて、『根』の先輩は懐に忍ばせておいた封筒を差し出した。
受け取って中身をチラリと覗き見たサイの顔色が一瞬変わる。

サイから疑わしい視線を受けても、『根』の先輩は平然としたまま、仮面の下で「いいか」と確認するかのように言葉を続けた。


「お前に与えられた極秘任務はダンゾウ様の、」

刹那、仮面の下で鋭く視線を投げると同時に、クナイを投げる。


吸い込まれるように窓から外を飛んだクナイは、サイの部屋の前にある木々の中へ突き進む。
葉音を立ててクナイの姿が消えた直後、木の葉陰から飛び出してきた猫が慌てて屋根の上
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