二十六 親睦
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吹き出した左近に続いて鬼童丸も腹を抱えて笑い始める。
周囲の客が何事かと遠巻きに視線を投げてきたので、シカマルは「おい」と眉を顰めた。
「乗り換えてなんざねぇよ」
ひとしきり笑った後の左近の答えを聞いて、シカマルは「それじゃ、」と言い淀む。
その言葉尻を捉らえ、「だからって大蛇丸様…いや、大蛇丸でもないぜよ」と、鬼童丸が答えた。
大蛇丸でもダンゾウでもない。
ならば、彼らは現在誰にも仕えていないのだろうか。
木ノ葉の忍びとして火影に仕えている身のシカマルは、元音の五人衆である二人をまじまじと観察する。
ややあって、鬼童丸と左近に再会してからずっと考えていた疑問をシカマルは彼らにぶつけた。
「今回の任務…何故、引き受けた?」
天地橋を目指し、大蛇丸の組織に潜入している『暁』のスパイを拘束し、連れ帰る。
それが大蛇丸及びうちはサスケと春野サクラの情報が手に入るチャンスだと、ナルとヤマトは考えている。
だがかつて、サスケを大蛇丸の許へ向かわせた張本人達が今や真逆の任務を受けているこの状況はどう考えても不可解だ。
「引き受けたっつーより、ありゃ強制だな」
温泉の中で肩を竦めた左近に、鬼童丸が同意する。
「ああ。捕虜の身である俺らに選択肢はねぇぜよ」
「ダンゾウにか?」
「「それ以外なにがある?」」
シカマルの問いに、左近と鬼童丸は揃って肩を竦めてみせた。
「お前も気をつけろよ、奈良シカマル。ありゃ野に虎を放ってるのと同義だ」
「────詳しく聞かせてくれ」
かつて火影の座を巡って、綱手と争った志村ダンゾウ。
大きな禍のもとだと暗に告げる左近と鬼童丸の話を耳にし、シカマルは思わず身を乗り出す。
真剣な顔つきで聞く体勢になったシカマルに、鬼童丸はすぐさま否定を返した。
「ああ、そりゃダメぜよ。話せない」
「何故?忠誠を誓っているわけではないんだろ」
シカマルの至極当然の問いに、左近がやにわに口を開いて、舌を見せた。
そこには奇妙な印が施されている。
「コイツがあるもんでね」
【舌禍根絶の印】。
『根』の機密事項、特に長であるダンゾウの情報を話そうとすれば、たちまち身体が痺れて動けなくなる呪印だ。
大蛇丸に施されている呪印だけでなく、ダンゾウにまで呪印を舌に施されている鬼童丸と左近に、シカマルは愕然とした。
ようやく口にできた言葉は「そりゃまぁ…用心深いこって」というダンゾウに対する批評だった。
「そりゃまぁ、俺らは元大蛇丸の部下だかんな。用心にこしたことはないんだろーよ」
「まぁ正直言って、呪印が二つも施されてる状況はあまりよかねぇぜよ」
他人事のように言葉を連ねる左近と鬼童丸に、シカマルは違和
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