天空のアビス
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入った」
へ?
「あ〜そうか! 逃げ遅れて避難が間に合わなかった人の救出や保護なんて、この誰もが生きるのに必死な状況じゃ、確かにそう簡単には思いつかない! 特に管理局が色々とアレな今、私達アウターヘブン社が率先して市民の救助を行っているとなれば、こうやってもみ消されそうな裏情報が手に入るなどで大きくプラスに働く!」
「しかもナンバーズの能力はそういった人だけでなく、瓦礫に埋もれたりして身動きできなくなった人を安全に運ぶ面でも優れている。更に彼女達の手で助かった者達が評判を周囲に広げ、それはいずれ戦闘機人という正体が知られても造られた存在に対する忌避感を拭い去る手助けになる。たった一手で彼女達の今後の処遇に対する保険を手に入れ、同時に昨今増加しているプロジェクトFATE産のクローン達にも光を与えたんだ」
「それを敵への対策と並行して行うとは……正直、シャロンをD・FOXの指揮官に任命した私もあまりの周到さにブルッと来たよ」
あ、あれ? 私、そこまで細かく指示したっけ?
で、でも皆なぜか納得してるし……結果的に利益が入って士気が上がるなら、これでいいのかな?
「ふぅ〜……とにかくこの件で証明されたけど、ミウラちゃんのことは確実に気付かれてる。化けた相手は視線の気配を辿って、彼女の家を見つけたに違いない」
「極めた武術家は気配だけで相手の位置を探れるというし、あり得ない話じゃないね。ケイオスのおかげでシェルターに避難させることはできたから、内部に攻め込まれでもしない限り、彼女や彼女の家族に危害が及ぶことは無い……はず」
私のことが尾を引いているのか、シオンは安全だと断言しなかった。でもその分、警戒や監視は増しただろうから、以前より安全になっていることは間違いない。
「大丈夫、今度はあんなことにはならない。だって、皆がいるから」
「おや、言うねぇ?」
「もし皆が信用に値しないと思ったら、私はここから出て行ってる。でも私はここにいる、それが皆に対する私からの答えだ。だからここは守れるし、私も守る」
「……」
「それにあの時の件なら私だって反省したよ。人は弱いけど反省する生き物だ。弱くても反省するから人は霊長類の長にまで成り上がったんだ……! 強さに溺れ、反省を怠った先に命の尊厳を持ち合わせた人はいない! 故に私は弱者として反省し、強者の先を進んでみせるっ!」
そう言うとこの場にいる誰もが息を呑み、無言で私を見つめる。まだ言葉がわからないフーちゃんはぽけーっとしてるけど、ミウラはなぜか真剣にこっちを見つめていた。
「大丈夫だよ、ミウラちゃん。君と君の家族は私達アウターヘブン社が守る。だから安心して―――」
「あ、あの! お姉さん、名前を教えてくれますか?」
「へ?
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