天空のアビス
[4/27]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
れません……。ちょうど他の場所からは見えない物陰だったので……。で、でも……同じ格好の人がいきなり出てきて、もう一人がすごく驚いた顔のまま転移魔法で帰るなんて、何かおかしいと思って……」
「ん、それで相談させてほしいと言ったのか、親が」
「親が?」
「見たのは彼女だけらしい。親はこの事を聞いて何かマズいと感じたのか、誰かに事情を説明して守ってもらうように彼女へ言いつけたそうだ」
「管理局を尋ねなかったのは入り込まれた当事者なのもあるけど、まだキナ臭いと思われているからかもね」
実際、管理局の内部が黒いことは髑髏事件の影響でもう周知の事実になっている。ヤバい所を見たら消される、って感じで管理局は一応守ったりはしてくれるけどヤクザのフロント企業的な組織だと、民衆の認識が変わったのだ。
ってことは、一般局員は若衆時々鉄砲玉で隊長格は若頭か。じゃあ執務官や高官は舎弟で組長は……あぁ、もういないんだっけ。
『シャロンは影の組長だと思います』
影の組長って何さ。
とにかくミウラが見た光景が事実だとすると、黒い服の局員……確かクロノ・ハラオウンと言ったっけ……彼は着替えの不意を突かれて拉致され、変装した別の誰かがすり替わったと考えるべきだ。仲間が意識を向けられないタイミングでこの入れ替わりの手際の良さ……相手はこうなることを予測していた? あるいはこの状況そのものを生み出した? なんにせよ、管理局はまたしても隠れ蓑にされたわけだ。
本物のクロノが今どうなってるかは知らないが、正直どうでもいい。せいぜいどこかで見つけて運よく生きていたとしたら、拘束を外すぐらいはしてやってもいいと思う程度だ。だけど偽物は何が目的でクロノに化けた? なぜ彼に成り代わった? 理由はわからないが、これだけは言える。管理局の内部の動きにはより一層警戒する必要がある、と。
「ところでミウラちゃん、君はその人に見ていたことを気づかれた?」
「え? う〜ん……そういえばあの人、最後にちょっとだけこっちを見たような……」
「ケイオス、確認するけど彼女達とはどこで……」
「ん、シャロンが考えた通り。彼女とその家族はここに来る途中でクレイゴーレムの集団に襲われていた。偶然見つけてモンスターを殲滅してから彼女達を匿ったが、俺がアウターヘブン社所属だと知ったら、親が信用できる人に渡りをつけてほしいと」
「なるほど、お手柄だねケイオス。色んな意味で」
「ふふん」
私から褒められて嬉しいのか、ケイオスは無表情のままドヤ顔をするという器用な真似を見せた。しかし街中にモンスターが残っているのか……これは対処が必要かな。
「しかし、本当に流石だよシャロンは。これを想定して俺やナンバーズを送り出したとは、恐れ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ