川尻早人は、青いバラと出会う(三人称)
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動した。そして、こっちこっちと言わんばかりにフリフリと動いていた。
なにアレ…? っという疑問がまず浮かぶが、子供心による好奇心と根っこの奇妙さが早人を導き、早人は、部屋に急いで小型の録画カメラを手に、外へ飛び出した。
根っこは、早人の前を、ピョコピョコと飛び出しながら、地面を移動し、やがて、杜王町で一番大きな病院についた。
根っこは、地面どころか病院の床をも移動し、早人を導く。その間、不思議な力が働いているように、早人は病院の人間から声をかけられることもなかった。
やがて、VIPが入院するような階層の病室の前に導かれた。
根っこが伸び、病室の扉を開く。
早人がこっそりと中を覗くと……。そこには、ベットの上に一人の女性がいた。
赤い茎の赤いバラの花がベットの周りに囲うように敷き詰められ、ベットの上に座っているだけなのに、窓から差し込む陽光を浴びて、その姿は、女神のごとく美しく見えた。
その美しさに放心していると、やがて、『君! そこで何をやっているんだ!?』っと注意する声が聞こえた。
早人は慌てて逃げようとして、ちょうど来ていた、長身の人物の足にぶつかった。
195センチはあろうかという長身に、白いコートをまとった迫力ある男性だった。
「子供?」
「すみません! すぐつまみ出しますので!」
「待て。」
しかし、早人は長身の男性が止めた隙に逃げようとした。
だが、長身の男の横を通り過ぎようとした直後、なぜか、男の前に戻されていた。
その現象に、ハテナマークが大量に浮かんでいると。
「どうやってここに? 少しだけ話をしないか? ボウヤ。」
目線を合わされ、有無を言わさない迫力に負けた早人は、思わず頷いた。
美しい彼女がいる病室に通され、部屋にある椅子に座らされて、ジュースを貰った。
「それで? 君はなぜここに?」
早人は、ジュースに目を落としながら、ボソボソと、赤い根っこが…っと普通なら信じられないような話をした。
しかし、男は疑うことなくジッと聞いていた。
すると。
「すまないが。君の家族構成を教えてはくれないか?」
なぜそんなことを聞かれなくては?っと思ったが。
「それと、近頃、親の様子がおかしいとか、なかったか?」
思わずドキッとした。
「そこにいる…、彼女の“守護”が、君をここへ導いたのは、必ず意味がある。頼む、教えてくれ。君の名と、親の名を。この町にこれ以上の悲劇が起こる前に。」
何を言っているのか分からなかった。
けれど、男は真剣に言っているのは分かった。
けれど…、早人は
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