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ある晴れた日に
578部分:鬼め悪魔めその十四

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鬼め悪魔めその十四

「そこまでツーリングに来たの。この辺りツーリングするには随分危ないと思うけれど」
「商店街だからね」
 恵美もまたここで言った。
「それはかなり難しいわね。言い訳には」
「そうよね、確かに」
「苦しいって言った方がいいけれど」
 何気に自分の言葉を訂正もする恵美だった。
「実際のところね」
「うう、つまりな」
「もう何言っても無駄よ」
 ばらしてる元凶が彼に言う。
「だからね。ここはね」
「ちっ、仕方ないな」
 ここで遂に彼も観念したのだった。
「そうだよ。この店にあえて来たんだよ」
「ほら、やっぱり」
「そうだったのね」
「確かに美味いな」
 あらためて恵美のコーヒーの味を褒めた。
「かなりな」
「そうよね」
 加住も笑顔で言う。
「ここのコーヒーって」
「よかったら何杯でも飲んでいいわよ」
 恵美は微笑んで彼女に告げた。
「おかわりは自由だから」
「そうなの」
「そうよ。だから飲んで」
「私ももう一杯ね」
 明日夢がここで紅茶のおかわりを頼んだ。
「頂戴」
「わかったわ。じゃあ」
「何か珍しい顔も見たし」
「これからは珍しい顔でなくなるようにするさ」
 坪本もそのコーヒーを飲みながら述べた。
「今度来る時はな。そうだな」
「一人で来るとか言わないわよね」
「そんなこと言うかよ」
 軽く笑ったうえで加住の今の言葉に返した。
「来る時は絶対に二人だからな」
「だったらいいけれどね」
「コーヒーってのは二人で飲むからいいんだよ」
 そしてこんなことも言うのだった。
「一人で飲むと寂しいだけさ」
「何かキザね」
 今の言葉を聞いた明日夢の突っ込みだった。
「ジャズとかブルースの世界ね」
「そうかもな。とにかくな」
 さらに言う彼だった。
「コーヒーは二人でだよ。こいつと飲むんだよ」
「ありがとっ」
 笑顔で彼の今の言葉に応える加住だった。
「じゃあ私もこれからずっと二人でね」
「飲んでくれるんだな」
「そうするわ」
「じゃあ今度はウィンナーコーヒーな」
 それを飲むというのだった。
「それを頼むな」
「ウィンナーをなのね」
「ああ、今度はそれな」
 笑ってカウンターの恵美に告げる坪本だった。
「それを頼むな。ウィンナーもあるよな」
「メニューを見ればわかるわ」
 これが恵美の返答だった。
「そこにあるけれど」
「あっ、あるわ」
 それを見た加住の言葉である。
「ちゃんとね」
「ウィンナーティーもあるわよ」
 明日夢が笑ってその二人に告げた。
「それもね」
「ウィンナーティーってあれか」
 坪本はそれを聞いてすぐに明日夢に目を少ししばたかせたうえで告げた。

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