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ある晴れた日に
577部分:鬼め悪魔めその十三
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鬼め悪魔めその十三

「坪君だけれど」
「坪君って」
「坪本のこと?」
 今の彼女の言葉に反応した二人だった。
「それがこれの仇名だったの」
「こっちじゃ坪屋って言ってるけれど」
 それを聞いて言う二人だった。
「あんたそう呼んでるのね」
「坪君ね」
「悪いかよ」
 加住ではなく彼が応えた。忌々しげな口調である。
「その仇名でよ」
「っていうか何かね」
「あんたがその仇名だとね」
 二人は何故か温かい微笑みを彼に向けていた。
「面白いっていうか」
「可愛いわね」
「可愛い!?俺がかよ」
「そうね。可愛いわね」
 また横から言う加住だった。
「今気付いたけれど」
「そうよね。可愛いわよね」
「そうね」
 二人も彼女の今の言葉に応えて微笑む。
「こいつにそんなの感じたことなかったけれど」
「いつも騒がしいし」
「俺は騒がしかったか?」
 自分ではそういう自覚はあまりない彼であった。
「そんなに自覚はなかったけれどな」
「うちのクラス全員そうだしね」
「あんただけじゃなくて」
「まあそう言えばな」
 彼もここで頷いた。
「そうかもな。まあいいや」
「いいの」
「このコーヒーだけれどな」
 話をそこに移すのだった。見ればもう一口飲んでいた。
「美味いな」
「そう言ってくれるのね」
「ああ、美味い」
 微笑んだ恵美に微笑みで返すのだった。
「はっきり言うな。美味い」
「その言葉が最高の賛辞よ」
「だから金半額にしろ」
「お皿百枚洗うのでどうかしら」
 この辺りは実に厳しい彼女だった。
「それで半額になるわよ」
「わかったよ。冗談の通じない奴だな」
「今の冗談に聞こえなかったわよ」
 明日夢の今の言葉は冷めたものだった。ついでに言えば視線もである。
「ちょっとね」
「ちぇっ、やっぱり御前等厳しいよ」
「厳しくしなきゃあんたつけあがるし」
「だからよ」
「へいへい、美味いコーヒーだね」
「実は坪君ね」
 ここでまた二人に言ってきた加住だった。
「私に美味しいコーヒーを飲ませたいって言ってね」
「この店に来たのね」
「そうなの。本当はね」
 彼女はさらに真実を暴露していく。その彼の横で。
「このお店がクラスメイトのお家だっていうのも知ってたのよ」
「前に何度も言ってたからね」
「だから知ってたのよ」
 この種明かしもするのだった。
「それで私を連れて来てくれたの」
「おい、作り話は止めろよ」
 坪本は慌てて自分の真実を打ち消しにかかった。
「俺はな。ただ偶然ここを通り掛かってな」
「そういえばあんたの家ってここじゃないじゃない」
 明日夢はここでこのことを思い出したのだった。
「そうよね。全然違う方向だったじゃない」
「たま
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