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レーヴァティン
第百十四話 長田にてその四

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「そうも考えていたが」
「しかしですね」
「あの者達はそうはしてこなかった」
「ならいい」
「今は」
「取り締まりはさらに強めるが」
 法に基づく政としてそれを行うがというのだ。
「直接はなかったな」
「今現在は」
「左様ですね」
「ではこのままですね」
「長田に向かいますね」
「そうする」
 こう言ってだ、英雄は供の者達を連れて長田に向かいそこに入った。その長田はこの世界では長屋と民家が並んでいる町人の場所だった。
 その場所に入る時にだ、英雄は供の者達に言った。
「やはりな」
「はい、旅の商人の恰好になって」
「それで、ですね」
「よかったですね」
「ここに武士の身なりで入れば」
「目立って仕方なかったですね」
「ここは町人の場所だ」
 長田はというのだ。
「そこに武士が入るとな」
「どうしてもですね」
「目立ってしまいますね」
「場違いな為に」
「どうしても」
「そうなっていた、だがな」
 それでもとだ、英雄は言うのだった。
「この恰好なら問題ない」
「はい、腰の刀もですね」
「今は収められていますね」
「それならですね」
「問題ありませんね」
「場は選ぶことだ」
 それをとだ、英雄は左右に並び店達を目で見回しつつ言った。長屋から出て来た町人達が様々な種類の店を出入りしている。
「その場に合った服を着ているとな」
「それで目立たないですね」
「この様に」
「例え武士でも」
「そうであっても」
「歩き方や動き方は違うが」
 見れば英雄達は武士の歩き方だ、町人のそれとはまた違う。腰に何かありいざとなればという風なのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「服を替えるだけで違いますね」
「それだけで」
「かなり違いますね」
「この通りな、時折見る者もいるが」
 見れば町人の中にそうした者もいる、一行を見て町人にしてはとだ。
「しかしな」
「服だけで、ですね」
「町人の服を着ているだけで」
「それで町人とみなして」
「この長田に相応しいと見ますね」
「そうだ、服は重要だ」
 この時にもというのだ。
「ただ寒暖だけではない」
「場のものでもある」
「その場に溶け込むものでもある」
「そういうことですね」
「我々もそのことがわかりました」
「冒険者はその身なりで冒険者とわかる」 
 それだけでというのだ。
「どうしても武器を持っていたりして旅の身なりだからな」
「それで、ですね」
「わかりますね」
「そして今の我々は」
「商人の服なので」
「商人だ、ではこの恰好でだ」
 商人の身なりでというのだ。
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