第百十四話 長田にてその三
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「そうなる、そしてだ」
「悪事を為す」
「だからですね」
「若しよからぬことをしているとわかれば」
「その時は」
「成敗する」
英雄の今の言葉は一言だった。
「そうする」
「左様ですね」
「その時は」
「そうされますね」
「奉行所にも命じてある」
神戸の街の政を行う部署だ、これも江戸幕府の奉行所に倣っている。英雄は大坂と都、神戸にはそれぞれ東西に二つつずつ置き奈良等主要な街にも置いている。
「ヤクザ者はな」
「目を離さず」
「そして何かをしているとわかれば」
「その時はですね」
「容赦なく召し取ってだ」
そしてというのだ。
「処罰しろとな」
「命じておられますね」
「神戸の奉行所にも」
「そうされていますね」
「他の街と同じくな」
大坂や都の様にというのだ。
「特に都には所司代も置いているしな」
「朝廷の公卿の方々を見る為にも」
「その為にもですね」
「そうだ、そして奉行所もだ」
こちらもというのだ。
「置いている、とかくヤクザ者はだ」
「悪事をしたなら罰する」
「何があろうとも」
「そうされますね」
「ならず者を討つのも政だ」
そのうちの一つだというのだ。
「だからな」
「それ故にですね」
「ならず者については」
「徹底的に」
「そうしていく」
こう言いつつだ、そのうえでだった。
英雄は供の者達と共にヤクザ者達の横を通り過ぎた、そのヤクザ者達は彼等を一瞥もしなかったがその擦れ違いの後でだった。
英雄は彼等の方を振り返ってこう言った。
「何もなかったな」
「そうですね、別に」
「肩に触れそうになりましたが」
「それでもでしたね」
「無闇に喧嘩は売らないか」
ヤクザ者達の方を見て述べた。
「それはしないか」
「その様ですね」
「そこまで悪質ではないですか」
「若し喧嘩を売れば」
「その時は、でしたか」
「神具は使わずとも」
天羽々斬、腰にあるそれがというのだ。
「術もな」
「それでもですね」
「棟梁ならば」
「街のヤクザ者程度なら」
「魔物にするとほんの雑魚だ」
その程度の強さだというのだ。
「初級のな、山賊でもなり立て位だ」
「その程度だからですね」
「それで、ですね」
「棟梁ならば」
「これまでの冒険の経験もありますし」
「巨人を何体も一人で倒せる
このことは英雄だけでなく他の十二人も同じだ、それだけの戦闘力は神具がなくとも備えているのだ。
「ならな」
「素手でもですね」
「倒せますか」
「何人いてもな、造作もない」
英雄にとってはというのだ。
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