572部分:鬼め悪魔めその八
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鬼め悪魔めその八
「調べるから」
「そうなの」
「わかったのはとりあえずこれだけか」
「これだけじゃ情報が足りないかな」
「いえ、充分よ」
千佳が深刻極まる顔で彼の言葉に応えた。
「相手も誰かわかったし」
「そう。ならいいけれど」
「吉見哲也だね」
加山がその名前を口にした。
「そいつが竹林さんを」
「多分ね」
竹山は彼にも述べた。
「確かなことは言えないけれどね、まだ」
「けれど間違いないだろうね」
その辺りは察したのだった。
「だってそんなことをする人間がそうそういる筈がないから」
「だからだね」
「そう、間違いないと思っていいね」
その男が未晴を廃人にした犯人だと。皆わかったのだった。
「もうね」
「そいつを見つけたら」
「本当にどうしてやろうかしら」
「許さねえ」
凛と静華、春華は完全にスイッチが入ってしまっていた。
「未晴の仇だからね」
「見つけたらそれで」
「叩きのめしてから警察に突き出してやるよ」
「そ、そうね」
しかしであった。何故か奈々瀬はここで気弱な声を出すのであった。
「そうしないよね。未晴の為にもね」
「あれ、奈々瀬」
明日夢が最初に彼女に気付いた。
「震えてるの?顔も青いし」
「いえ、別に」
明日夢の今の言葉は首を横に振って否定した。
「そんなことないけれど」
「そう。だったらいいけれど」
「ええ、大丈夫よ」
とはいってもその表情は暗いもののままだった。
「だって。未晴がそんなことに遭ってそれをした奴がいるんだったな」
「絶対によ」
「許さないんだから」
「ぎったんぎったんにしてやるよ」
奈々瀬と三人の温度差は。気付く者には気付いた。しかし恵美にしろ桐生にしろ今はそれについてあえて何も言わないのであった。
そうしてだった。不意に茜が言った。
「それで咲は?そろそろかしら」
「あっ、そういえば」
「今何処なんだよあいつ」
明日夢と春華がそれに続いた。
「何処かしら」
「もうそろそろだと思うんだけれどな」
言いながらふとベランダの方を見るとだった。
彼女がいた。丁度駆けている。校門には車があって去ろうとしていた。
「お兄ちゃんに乗せてもらったみたいね」
「そうね」
凛と静華はその車を見てすぐに察した。
「それで今着いたの」
「そうね、あれは」
「おい、咲!」
春華がベランダから彼女を呼んだ。皆もそれに続いてベランダに出る。
「すぐに教室来い!とんでもねえことがわかったぞ!」
「うん、こっちも!」
するとだった。咲の方も駆けながら顔を向けて春華の声に返してきた。
「今から行くから!言いたいことがあるのよ!」
「ってまさか」
「それって」
皆今の彼女の態度から咄
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