第63話 太陽が曇る時、西風が吹いて空を晴らす
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side:フィー
「ヨシュアがいなくなった……?」
エステルから聞いたその言葉はわたし達に大きな衝撃を与えた。だって昨日までヨシュアはいたのに急に姿を眩ませるなんて何かあったとしか思えないからだ。
「ヨシュアさんがいなくなった?一体どういう事なんですか、エステルさん」
「……昨日ね、あたしはグランセル城の空中庭園でヨシュアに告白したの」
「えっ……?」
エステルの発言にリィンはおろかラウラまで目を丸くしていた。まあわたしは知っていたから驚かないけど。
「ヨシュアは最初は戸惑っていたけど自分も好きだったよと言ってくれたのよ。あたし、夢でも見ているんじゃないかって思うくらい嬉しくて……そしたらヨシュアがキ、キスしてくれたの」
「ヨシュアさん、意外と攻める人なんだな……」
「でもその時あたしの口に何か液体のようなものが入ってきて……気が付いたらあたしはグランセル城の一室のベットの上にいたの。周りにはヨシュアはいないし今日の昼過ぎになっていて慌てて……」
「それでギルドまで来ていたという訳か」
「しかしエステルさんが飲んだと言う液体、話を聞く限り睡眠薬の類かもしれないな」
「それもヨシュアが口移しで飲ませたって事だよね」
エステルの説明を聞いたわたし達は、ヨシュアが睡眠薬をエステルに飲ませてその後姿を消したと推測した。
「でもどうしてそんな事を?ヨシュアさんがそんな事をした理由が分からないぞ」
「しいて言うなら少し様子がおかしかったくらいだよね。エステルは心当たりはないの?」
「あたしにも何が何だか分からないよ。ヨシュア、どうして……」
エステルは信じられないと悲痛の表情を浮かべている。本来ならこんな顔じゃなくてもっと嬉しそうな表情を浮かべていたに違いないのに……
(ヨシュア、何をしているの?エステルを悲しませるなんて……)
わたしはこの場にいないヨシュアに少し怒りを感じた。
「大丈夫よ、エステル。先生にも連絡はしたしエルナンが関所や定期船乗り場にヨシュアが来ていないか確認をしてもらっているわ。きっと直ぐに見つかるわよ」
「遅くなってすまない」
シェラザードがエステルを慰めていると、突然第三者の声が聞こえてきた。ギルドの入り口に視線を向けるとそこにいたのは……
「先生!」
「父さん!?」
そう、エステルの父でありヨシュアの義父であるカシウスだった。
「会議を抜けるのに少し手間がかかってしまってな、来るのが遅くなってすまなかった」
「先生、忙しい時に無理を言ってすみません」
「シェラザードのせいではないさ……さて」
カシウスは頭を下げるシェラザードに手を振るとエステルの
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