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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第63話 太陽が曇る時、西風が吹いて空を晴らす
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……んくっ……」
「だいじょーぶ、ここにはわたししかいないから……」
「ひっ、えっ……うううう……あああああっ……うわあああああああん……!」
「辛かったよね……苦しかったよね……今は唯思う存分泣こう、わたしが受け止めるから……」
「うあああああっ……!うわあああああああん……!」


 膝をついて子供のように泣き叫ぶエステル、そんな彼女の頭を優しく抱きしめてわたしは唯彼女の悲しみを受け止め続ける。


 それから泣きつかれて寝てしまったエステルと一緒に一夜を過ごした。目を覚ましたエステルは落ち着きを取り戻したのか表情が柔らかくなっていた。


「ごめんねフィー、迷惑かけちゃって……」
「迷惑だなんて思っていない。友達を助けるのは当たり前」
「フィー……」


 ポンポンと頭を軽く撫でるとエステルはくすぐったそうに笑みを浮かべた。


「それでエステル、これからどうするの?」
「どうするって言われても……あたしがヨシュアの行きそうな場所なんてここしか思いつかなかったし、父さんにも関わるなって言われちゃったしもうどうしようもないわ……」
「じゃあ諦める?エステルにとってヨシュアはそんな存在だったの?」
「諦めたくなんてないわよ……でもどうしたらいいか分かんないよ……」


 エステルの目には諦めたような意思はなくヨシュアを追いたいっていう想いが浮かんでいた。唯何一つ手掛かりが無いからどうしたらいいのか分からないんだね、ならすることは一つ。


「じゃあ一緒にヨシュアを探そう。カシウスにダメって言われても関係ない、大事なのはエステルがどうしたいかでしょ?」
「あたしがどうしたいか……」


 エステルは考え込むように目を閉じる、そして拳を握って上に突き上げた。


「あたしはヨシュアに会いたい!会って抱きしめたい!もう二度と離れないように強く思いっきり!」
「ん、決まりだね」


 エステルは覚悟を決めたみたいだね、ならわたしもしたいようにさせてもらおう。団長やリィンは怒ると思う、でもわたしはエステルを助けたい。これは自分の意志で決めたことだ。誰にも邪魔なんてさせやしない。


「じゃあまずはグランセルに戻ろっか。皆心配してるよ」
「うう……シェラ姉怒ってるかな?」
「シェラザードは多分カシウスの方に怒ってると思うからだいじょーぶだよ」


 カシウスの気持ちも分からなくもないが女の子からしたらあれは駄目だと思う。多分女性陣は皆エステルの味方だよ。


「ねえ、フィー」
「ん?どしたの?」
「ありがとうね。貴方がいてくれてよかった」
「……ふふっ」


 エステルは満面の笑みを浮かべてわたしにお礼を言ってくれた。それを見たわたしは無性に嬉しくなって
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