第63話 太陽が曇る時、西風が吹いて空を晴らす
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いって言っていたよね?」
「あれ?そうだったかしら?でもヨシュアの事だからあたしに黙っていなくなったりなんてしないわよ、きっと家に戻って先にご飯でも作って待ってくれているはずだわ。丁度今度のご飯を作る番はヨシュアだったしね」
「エステル……」
違う、これは本気でそう思っているんじゃない。エステルは現実が受けいられなくて逃避しているんだ。
「そうだ、折角だからフィーも食べていきなさいよ。リィン君はいないけど今から呼ぶ?」
「……いや、今からじゃ遅いし今回はわたしだけでいいよ」
「そっか。じゃあ次回はリィン君も含めた4人で食事しましょう」
「……」
今のエステルに帰ってもヨシュアがいないなんてとてもじゃないけど言えないよ……一体どうしたらいいのかな……
それから定期船はロレントに向かって上昇して空の海を移動している。わたしは楽しそうに鼻歌を歌うエステルに何も言えずに唯側にいるだけ。リィンやラウラ、きっと心配してるだろうな……
「そこのお二人さんちょっといいか?」
すると背後から男性の声が聞こえたので振り返ってみる。そこには緑の髪のちょっと軽そうな男性がいた。
「どうかしたの?」
「いや可愛らしい女の子が二人だけでいたからちょいと声をかけてみたんや。いやぁこうやって側で見てみるとより一層可愛らしい子達やなぁ。どうや、ロレントに着いたら一緒に食事でもせえへん?」
どうやらこの男性はナンパをしにきたみたいだね。でもなんか話し方がゼノに似ている。軽そうな雰囲気もそっくりだ。
「あはは、誘ってくれてありがとう。でもごめんなさい、あたし達先約があるの」
「かぁー、なんや彼氏持ちやったんかい。こりゃ残念や」
残念そうにする男性だがわたしは警戒を怠らないようにしていた。だって見た目は軽そうに見えてもこの人から何か得体のしれない物を感じたからだ。
「……そもそも貴方は誰?」
「こりゃ失礼、まだ挨拶もしとらんかったな。俺はケビン・グラハム、七曜教会の神父をしとるんや」
男性は腰に付けた杯が描かれたペンダントを見せてそう自己紹介した。でもまさかさっき七曜教会の話をしていきなり関係者に会う事になるとは思わなかった。
(偶然だとは思うけど……)
この人が『守護騎士』かどうかは分からないが、わたしの猟兵としての本能が何か危険だと言っている。あまり気は許さないようにしないと……
それからは暫く他愛のない会話をしていたがロレントに到着した。でも流石にヨシュアが家に帰ってるとは思えないんだけどどうしよっか……
先に降りたエステルを追うように向かおうとするがケビンに止められた。
「ちょい待った」
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