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レーヴァティン
第百十三話 返す刀でその九

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「それがあまりよくなかったと言う人もいるとよ」
「常に一人だったからか」
「ヒトラーは身内も遠ざけていたたい」
 よくある縁故主義とも無縁だった、それどころか身内贔屓というものを忌み嫌っていたふしさえある程だ。
「そしてたい」
「家庭もなかったからか」
「それでたい」
「ヒトラーはか」
「家庭がなくてたい」 
 それでというのだ。
「孤独さを増していたとよ」
「だからだな」
「そうたい、まあヒトラーは極端たいが」
「ああした風なか」
「孤独になりたいたいか、うち等はいつもいるたいが」
 そこはヒトラーと違っていた、彼に限らず独裁者はその国で唯一の立場だ。そだから友人も存在しないのだ。
「孤独だと癒されないたい」
「家庭はそうした意味でも持つべきか」
「そうたい、だからどうたい」
「俺も前から考えていた」
 英雄自身もとだ、彼は香織に答えた。
「それでか」
「そろそろたい」
「妻、正室を迎えるべきか」
「今は戦もなくて大坂に留まっているたい」
「時もあるな」
「だから余計にたい」
 今この時にというのだ。
「結婚してたい」
「身を固めるべきか」
「どうたいか」
「では相手を探そう」 
 是非にとだ、英雄も答えた。だが英雄は夜には多くの女達を相手にしているがだ。
 正室になるとだった、それで数日経って仲間達に言った。
「結婚するにもな」
「それでもじゃのう」
「相手がだ」
 正室となる者がというのだ。
「いない」
「肝心の相手がじゃな」
「遊郭に行けば何人でもいるが」
 遊ぶ相手はとだ、英雄は当季に話した。
「そして側室もだ」
「おまん今側室何人いるぜよ」
「十人いる」
 英雄は当季に即座に答えた。
「大坂にはな」
「そしてあちこちでじゃな」
「遊郭に行けばな」
 そこでというのだ。
「相手はいる」
「そうじゃのう、しかし」
「正室となるとな」
「おらんのう」
「正室はまた違うな」
「そうじゃな、本当の奥さんじゃからな」
 それだけにとだ、当季は英雄に江戸時代までの考え自分が学んで知っているそれのことから話をした。
「また違うぜよ」
「それでだ」
「正室さんはか」
「これといった相手はいない、生まれや育ちはどうでもいいが」
「確かな人じゃな」
「そういった女を迎えたいが」
「心当たりがないんじゃな」
 当季は英雄の言いたいことを察して述べた。
「そうなんじゃな」
「そうだ、俺は知らない」
「ううむ、なら評判のいいおなごさんの話を聞いてぜよ」
 そしてとだ、当季は英雄に考える顔で述べた。
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