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レーヴァティン
第百十三話 返す刀でその八

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「これからもな」
「それでもっとだね」
「力を備えてな」
「そしてだね」
「次の攻める先を考えていこう」
 こう言うのだった。
「これからはな」
「そうだね、次は何処か」
「俺達は東にも西にも行ける」
 この浮島の何処にもというのだ。
「選択肢はある、ではな」
「そのうちのどちらを選ぶか」
「それだ、そして西といってもな」
「山陽、山陰、四国とね」
「三つある、東なら東海と北陸だ」
 こちらはこの二つの地域があるというのだ。
「何処にでも進めるが」
「先に何処に進むか」
「それが問題だ」
「そうだね、色々考えられるね」
「そこをじっくり考えてだ」
「決めようね」
「今はな、さしあたって俺達は浮島第一の勢力になった」
 近畿全体を領域にしてだ、完全にそうなったのだ。
「だがまだやるべきことは多い」
「だからだね」
「今はな」
「考えていくね」
「そこもな、政をしながらな」
 英雄は静かな声で語った。
「色々考えていこう」
「まあ今はっちゃ」
 愛実も言ってきた。
「政の時っちゃな」
「そうだ、戦は暫くはしない。してもだ」
「攻めないっちゃな」
「攻撃は最大の防御というが」
「今は攻めるにはっちゃ」
「力が足りないうえに相手も定めていないし備えもだ」
 そうした諸要素がというのだ。
「整っていないからな」
「しないっちゃな」
「後だ、ではな」
「政っちゃな」
「それに務める」
 こう言って実際にだった、英雄は一気に勢力を拡大させ手に入れた近畿の全域に四国の半分それに越前をだった。
 整えた仕組みと用いた人材で治めはじめた、そうして城も築き浮島の統一にこれ以上はないまでに足場を固めだした。
 だがここでだ、英雄は仲間達に言われた。
「そろそろです」
「ご正室を迎えられては」
「我等の様に」
「家庭を持ったらどうだい?」
「家庭か、前から言われているが」
 英雄も彼等の言葉に応えて言った。
「俺もな」
「あるととよ」
 香織は彼に仲間のうちで一番強く言った。
「全く違うたい」
「そうなのだな」
「あんたは女遊びが好きたいが」
「それでもか」
「奥さんがいるとたい」
 それでというのだ。
「全く違うばってん」
「それでか」
「早く結婚してたい」
「家庭も設けるべきか」
「そうたい、あんたヒトラーになるつもりたいか」
 香織はここで誰もが知っている二十世紀で最も名を知られた独裁者の名前を出した。
「あん人に」
「ヒトラーは家庭を持っていなかったな」
「そうたい、自殺する間際に結婚したたいが」
「実質的にな」
「家庭を持っていなかったたい」
 そう言っていいというのだ。
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