564部分:もう道化師じゃないその十五
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
もう道化師じゃないその十五
「警察だし」
「そんなことは」
「いや、それがね」
ここでまた皆に話す竹山だった。彼の言葉は今は発せられる度に皆を絶望させる。しかしそれを聞かずに入られない状況でもあった。
「物凄い集中的な抗議をするんだよ」
「そんなに?」
「そんなに凄いんだ」
「うん、何百人単位で二十四時間電話やFAXで抗議してね」
そうするというのである。
「それで仕事もできない状況にするから」
「それでどうしようもなくなってかよ」
「動けないのね」
「そうなんだ。だから実質やりたい放題なんだよ」
「とんでもない話だな」
「そうね」
皆こう言うしかなかった。
「そんな奴がいるのかよ」
「許せない話だけれど」
「それだけじゃなくてね」
竹山のその絶望させる言葉がまた続いた。
「洒落にならないことだけれど」
「洒落にならないこと?」
「まだあるの」
「うん、その彼の息子だけれど」
彼に息子がいるというのである。
「大学生らしいけれどこれがね」
「ワルかよ」
「そうなのね」
「不良とかそういうのじゃなくてね」
竹山は言いながら首を横に振る。そうしながら話すのだった。
「色々とよくないことをしているらしくて」
「よくないことって」
「具体的には?」
「それはまだはっきりわかってないんだ」
これについては今は言うことができなかったのだった。
「けれどね、相当とんでもない人間らしくて」
「親もそんなので」
「息子もまた」
「うん、そうらしいんだ」
また言うのだった。
「はっきりわからないけれど」
「何かはっきりしないことばかりじゃねえか」
春華がここまで話を聞いていて遂にたまりかねた。
「それもわかってることはどれもこれも暗いことばかりでよ」
「それも多分」
恵美も今は俯いていた。俯いて暗い顔での言葉だった。
「今ここではっきりしないことも」
「だろうな」
自分でもそれは察している春華だった。声が忌々しげなものになる。
「碌なものじゃねえだろうな」
「あの、若しかして」
咲が言ってきた。
「まさかよ、まさかだけれど」
「ええ」
「どうしたの?」
「その息子って何か事件に関わっているのかしら」
こう言うのだった。
「ほら、最近公園が荒らされたり学校の動物が殺されたりしてるじゃない」
「それ?」
「春から噂になってるそれ?」
「あと。その虐待の話とか」
咲はさらに話していく。
「まさかと思うけれどそいつがってことは」
「いや、それは」
「やっぱりないんじゃ」
「そうだよな」
「幾ら何でもな」
皆咲の今の話は咄嗟に否定した。むしろ否定しようとしたのだった。
「ないって」
「そうだよ、考え過ぎだよ」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ