ロアナプララブソフィ
[2/3]
[1]次 [9]前 最後 最初
か分かるかい?」
「海賊で荷を奪ってここに。
それは知っているよ。
三合会はそれに加担したからな」
つまらなそうな顔をする張。
南日本向けの貨物船を襲い、その荷である米をここロアナプラに運び、それを北日本へ向かう貨物船に移し替える。
行き先や国が違うかもだが、犯罪都市ロアナプラの日常でもある。
それを聞いて岡崎六郎はニヤリと笑う。
「そう。
けど、北日本の企みは潰え、ここは卒塔婆としてこうして佇んでいる。
そりゃそうさ。
ここにこの卒塔婆を建てるように仕向けたのは、南日本の総合商社なんだから」
張の葉巻から灰がぽろりと落ちた。
岡崎六郎の語りは、卒塔婆での述懐から勝ちを確信してカードをめくるギャンブラーのように変わる。
暇つぶし程度の勝ちは取れたらしい。
「『ラーメンからミサイルまで』。
その膨大なネットワークと販売網と資金は、既に東南アジアの殆どに広がっていた。
現地の商社を使って北日本軍の調達部門に渡りをつけて、向こうの武器とバーターで米を売るという計画を仕切っていたのが南日本の総合商社。
そこから上がる北日本軍の保有資金に取引に使った武器の量、送った米の量は全部総合商社を通じて日本の諜報機関に流れたらしい。
その上で、彼らは北日本軍を真綿で締め上げた」
武器を使わない戦争。エコノミックアニマルの面目躍如。
岡崎六郎は楽しそうにその顛末を語る。
「ここでタイ米が手に入ることが分かった北日本政府は、ここまで貴重な貨物船を継続的に派遣しなければならなかった。
そして、その船の荷物は、戦略予備として樺太本土の軍が確保していた武器弾薬」
特に、貨物船の派遣と戦略予備の放出は致命的だった。
経済的に破綻しつつあった北日本政府は宗谷海峡を往来する船の確保だけで精一杯であり、樺太本土を急襲した南日本軍に対して北海道の戦力を戻す術がなかった一因にもなっている。
かくして、統一戦争は短くも派手な花火として咲き、その役目を終えたここのサイロ達は使われる事なく卒塔婆と成り果てた。
「そういえば、張さん。
なんだってここに?」
「ああ。
まぁ、お前の話とも絡むが確認をと思ってな」
葉巻を捨てた張維新が殺気を纏う。
銃は抜いていないが、部下達がさり気なく服の内側に手を入れていた。
その空気を岡崎六郎はじっと受け止めた。
「なぁ。ジャパニーズ。
お前、『トウキョウ・フーチ』の回し者か?」
公安調査情報庁。
南日本政府の国家情報機関のニックネームを聞いた岡崎六郎、いやロックは嗤う。
そして、張と同じように葉巻を投げ捨てた。
「俺は違うよ。
だったら、あのガルシアやロベルタの時にもっと上手
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ