563部分:もう道化師じゃないその十四
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もう道化師じゃないその十四
「吉見兵衛っていうらしいよ」
「吉見兵衛!?」
「誰それ」
「いや、待って」
ここで言ったのは千佳だった。
「その人何処かで名前聞いたことあるけれど」
「そういえば」
加山も気付いた様な顔になる。
「僕も何処かで」
「時々テレビに出て来るよ」
竹山はその二人に対して言ってきた。
「テレビにね」
「ああ、だからなのね」
「何処かで聞いたって思ったら」
「人権派弁護士として有名な人だよ」
彼はその吉見という弁護士について語った。
「表向きはそれで有名なんだ」
「人権派なら」
「そんなに問題じゃないんじゃないの?」
「だよな」
殆どのメンバーは人権と聞いて特におかしくは思わなかった。
「それだったら」
「おかしな人じゃないんじゃ」
「何かあんのか、それで」
「だから表向きはだよ」
ここで言葉に含むものを及ばせてきた彼だった。
「表向きはね」
「表向きっていうと」
「実際は」
「そういうことだよ」
また皆に述べてみせた。
「実際は過激派とかカルト教団と関わりが深くてね」
「過激派とかって」
「何だよ、それ」
皆過激派がテロリストそのものであることは知っていた。最早常識であった。
「それの何処が人権派なんだよ」
「っていうか犯罪者なんじゃ」
「実際に犯罪に手を染めているって噂もあるよ」
このことも話す竹山だった。
「横領とか。詐欺行為とかね」
「それ本当なの!?」
明日夢も眉を顰めさせて問い返した。
「弁護士でそれって」
「確かな証拠はないけれどね」
そのことは言うのだった。
「けれどね。それでもだよ」
「疑いはあるのね」
「白か黒かで言えば」
無罪か有罪か、そういうことだった。
「灰色だね」
「灰色ね」
「疑わしいってことね」
「しかも限りなく黒に近い灰色だね」
こう言われるとだった。皆もこう言うのだった。
「というとつまりは」
「相当やばいってことだな」
「うん、まずね」
そうだというのだった。竹山にしても。
「弁護士の集まりの中で相当力のある人でしかもそうしたつながりがあるから誰も何も言わないけれど」
「警察とかは?」
桐生がそれに問うた。
「そういう人を捕まえられないのかな」
「それが無理らしいんだ」
首を横に振って答える彼だった。
「その人と関わりのある団体だけれど」
「そのテロリストや過激派とか?」
「他にはあの独裁国家の組織もあって」
「あの国の」
その国を聞いてさらに驚く一同だった。桐生だけではなかった。
「あの国の組織とも関係があるんだね」
「そうなんだ。そこから警察に一斉に抗議したりするから」
「抗議ってよ」
「そんなことで警察が動か
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