第7章:神界大戦
第213話「足掻き、集結する」
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=アリサside=
炎と氷が飛び交う。
本来、日常生活ではまず見ないような光景が、今あたしの目の前で繰り広げられている。
「はぁっ!」
あたしの刀が眼前に迫る槍を逸らす。
二段構えとして大きな氷柱が飛んでくる。
でも、そっちは炎で作った刀で切り裂いた。
「ッ!」
直後、半身を逸らす。
視界を氷の冷たさによる軌跡が横切り、あたしの頬が僅かに切られる。
「遅い、遅いよアリサちゃん!」
「あんたが速いだけでしょう……!」
相手はすずか。今は夜の一族としての身体能力をフル活用している。
そのため、あたしだと身体能力で追いつけないのだ。
「(いえ、そっちは問題ないわね。その気になれば追いつけるわ)」
そう。元の世界なら無理だけど、神界ならその無理を通せる。
単純な実力差ならある程度は埋められる。
じゃあ、何が問題なのかというと……
「ちっ……!」
赤い眼光から目を背ける。その間に肉薄を許し、体勢を崩される。
間髪入れずに氷の霊術が頭上から落とされ、大きく飛び退く事になる。
……これだ。これが厄介だ。
「(魔眼……本当、厄介ね)」
夜の一族は人に対して記憶操作もできる魔眼を持っている。
忍さんも持っていて、過去にも何度か記憶操作もした事があるらしい。
妹であるすずかももちろん持っていて、以前から戦術に組み込んでいた。
「(精神干渉に躊躇いがなくなっただけで、ここまでだなんて)」
本来、すずかは魔眼を使うとしても精神干渉の類はほとんど使わなかった。
なぜか?と聞かれると、あたし達自身がかつて魅了を受けていた事が原因だ。
自分の考えや心を操作される。そんな感覚がどれほど怖いのか、身を以って知っているから、すずかはそれがトラウマになって精神干渉を使わない。
……でも、今洗脳されているすずかにそんなのは関係ない。だから使ってくる。
「っ、はぁっ!」
炎の斬撃を飛ばし、さらに広範囲に霊術をばら撒く。
牽制にしかならないけど、体勢を立て直すには十分よ。
「(燃やせ。燃やし、燃やして燃やし尽くしなさい。精神干渉、あたしへの悪影響すら、燃やし尽くしなさい……!)」
魔眼の対策は当然ながら存在する。
あたしもある程度の耐性があるし、防ぐ手段も持ち合わせている。
でも、洗脳された影響か、すずかの魔眼は効果が増している。
だから、あたしはあたしの“意志”を燃やし続ける。
“負けない”と、“勝って見せる”と、自身を奮い立たせる。
そうすることで、すずかの精神干渉を受け付けないようにしていた。
「さぁ、燃えなさい。貴女の
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