第二話「入学式」
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なるのか。意外と長かったな。
「坊主、お前は明日から学院に通うんだろ?なら今日で最後になるのか…。少し悲しいな。だけどそれが坊主がここに来た理由だしな、仕方ないか」
「店長にはお世話になりっぱなしでした」
「構わんよ。それに世話と言っても大したことはしていない。せいぜいベルンの街を案内したくらいだ」
店長はそう言うが実際はかなりお世話になった。余った食べ物をただでくれたり店長の言ったように街を案内してくれたり…。他にもたくさんの事をしてもらった。
「店長の串焼きはとても美味しかったですよ。また食べに来てもいいですか?」
「勿論だとも!何時でも来てくれ!そん時はサービスしてやるよ!」
「ありがとうございます!」
店長の言葉に感謝の念を抱きながら最後のバイトの日を過ごした。帰る際には串焼きを数本持たせてくれた。
「さて!明日から…と言っても明日は入学式や授業の説明で終わりそうだけどいよいよ始まるんだな…!」
すっかりお世話になった宿屋に戻って俺は緊張と興奮で激しい鼓動を続ける心臓に手を当てて心を落ち着かせようとする。しかし、夢にまで見た日を迎えると言う事もあって結局眠る事は出来ず落ち着くことが出来たのは日が昇り始めた時だった。
☆★☆★☆
結局一睡もできなかった俺は目の下にうっすらと隈を付けながら制服に身を通す。白いワイシャツの上に黒のブレザーを着る。左の胸ポケットには魔術学院国の国旗である二つの杖が交差する紋章が描かれている。一見地味にも思えるが個人的には気に入っている。公国にいた頃は黒っぽい服を選んできていたな。
荷物の入った袋を背負い女将さんに別れの挨拶をして宿を出る。女将さんも良く受験生が泊まりに来る関係か笑顔で祝ってくれたな。こっちに来てから良い人ばかりに出会っている気がするな。いや、公国にいたころが酷かっただけか。
ベルンの大通りを歩いていくと同じ新入生なのか魔術学院の制服を着た人達と会う。みんなそれなりの荷物を持っていたりするが中には教材を入れていると思われる鞄のみを持った生徒もいる。恐らくベルンに実家がある人なのだろう。基本魔術学院の寮に入るのは魔術学院がある街に住んでいないものと国外の人だけだからな。
昨日訪れたはずの学院は今日から通うためか一月見てきた学院とはまた違って見えた。俺は感動で体が震えるのを感じながら魔術学院の敷地を跨ぐ。門の前には魔術学院国の陸軍の軍服を着た者が立っていた。恐らく怪しい物が入ろうとすれば即座に捕らえるだろう。
基本的に魔術師は近接戦が苦手だ。魔術を使うのにはかなりの集中力を有するため敵が目の前にいては集中できないからだ。その為基本的に戦うときは自然と安全な後方から高威力の魔術や補助魔術を味方兵士に付与する役割
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