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ヘルウェルティア魔術学院物語
第一章【ヘルウェルティア魔術学院編】
第一話「無能で優秀なエルナン」
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はいえ地方の都市以下の繁栄しかない祖国に哀れすら覚えるけどな)」

この事実を知っている公国人は少ないだろう。公国は出入りに厳しく公国貴族の紹介でもない限り一日から三日は足止めを食らう。その為公国に出入りする人間は少なく大陸の国々の中でも異色な国だった。

「とは言えもう公国に帰る事も無いだろうしこれからは好きなだけ魔術の勉強が出来ると考えただけですごく楽しみだな!」

エルナンは内から湧き出てくる知識欲に身を震わせながら大通りを歩いていく。

「おじさん、串焼きを一本下さい」

「おう!それなら1スランになるぞ!」

「はい」

エルナンは途中で見つけた露天商で串焼きを一つ購入する。スランは魔術学院国で使用されている通貨でここでは基本このスランでのみ売買できる。エルナンは到着した日に国境の町で公国のペセタを全てスランに変えていた。二度と戻るつもりのない祖国の通貨を持っていても意味がないからだ。

「ところでこの辺で日雇いのバイトとか募集しているところってないですか?結果が分かるまで一月もあるので…」

「お、それなら俺の所で働けばいいぞ。丁度よく前に働いていてくれた奴が辞めちまったからな。内容は店の手伝いで昼前から夕方までで35スランでどうだ?」

「えっと、1スランが100ペセタだから…。分かりました。お願いします」

「おう!なら早速頼めるか?この荷物をあっちに…」

「はい、えっと…」

こうしてエルナンは何とかバイトを見つけ働く事が出来た。そして、一月後。運命の試験発表がされる日を迎えるのであった。

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