第一章【ヘルウェルティア魔術学院編】
第一話「無能で優秀なエルナン」
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。先程の違和感さえなければ特級クラスに入れるくらいには。
「よし!52番合格!次!53番!」
青年に対する疑問を持ちながらも今は試験中と言う事で教師は試験を進めていくのであった。
☆★☆★☆
「…ふう」
試験から一月後青年、エルナン・ハルフテルの姿は学院国首都ベルン郊外の宿屋にあった。試験結果が発表されるのは今日でありそれまでは実家に帰るのもこの国に滞在するのも自由であったがエルナンはここに残る事にしていた。
別に彼の実家の公国に帰れない距離ではないが彼が実家に戻ったところで居場所などなかった。
エルナンはヘルウェルティア魔術学院国を囲むように存在する三つの大国の一つ、共和国の南部に位置する公国の貴族の出であった。幼いころから大量の魔力とそれを制御できる才能を有し魔術先進国の魔術学院国や帝国、合衆国なら偉大なる賢者としての道を歩めていたかもしれない。
しかし、彼が生まれた公国は魔術後進国であり魔術を卑しい物として扱われていた。その為魔術の才を持つエルナンを彼の家族は疎み腫物の様に扱っていた。それでも魔術の世界に魅入られたエルナンは例え周りから蔑まれようとも魔術にのめり込んでいった。
『エルナン!貴様はまたその様なくだらない事を行っているのか!その様な物に時間をつぎ込むくらいなら将来兄の手足となれるようにしっかりと勉強しろ!』
『何でなの?何でそんな事に手を出すの?エルナン、お願いだから母の言う事を聞いてよ!』
『エルナン…。俺は親父やお袋の様に頭ごなしに否定はしない。魔術はとても素晴らしい物だと分かっているからな。だが、この国で魔術師がやっていく事は出来ない。それどころか生きていく事すら出来ないだろう。来年、魔術学院国の試験を受けろ。そうすればお前は魔術を好きなだけ学ぶことが出来る。旅費は渡してやる』
エルナンは兄から渡された貨幣が入った袋を片手に魔術学院に入るためにここまで来ていた。それは事実上の勘当でありエルナンは公国貴族から一般平民に落ちた事を意味していた。無論魔術学院は平民でも試験をクリアすれば入学自体は可能であり魔術学院は他国のからの入学者は全て国内の寮に入る事が義務付けられていた。魔術学院は学院でありながら国でもあるので他国から通学されるわけにはいかなかったからだ。
「取り合えず一月の間は日雇いの倍とでも探して金を稼がないとな。なんかいい感じのバイトがあるといいんだが」
エルナンは泊まっている宿屋を出て街を歩きだす。ベルンは魔術学院国の首都だけあって活気があった。エルナンが見た限りでは彼の故郷のエデタニアや公都マドリード、更にはベルンに向かう途中で立ち寄った共和国領のルグドゥヌムよりも賑わっている。
「(まあ、四年前に訪れたマドリードよりも大国と
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