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ある晴れた日に
556部分:もう道化師じゃないその七

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もう道化師じゃないその七

「しかしな」
「しかし」
「しかしって」
 そうして言うのだった。彼は。
「何時知った?」
 こう問うてきたのだった。
「おたく等。何時知ったんだ」
「何時っていうと」
「それは」
 もう言い逃れできなかった。ここまで来れば彼等も観念するしかなかった。
 そうしてだった。彼等は言った。皆腹を括った顔になって。
「ちょっと前にな」
「田淵先生が入院したあの時よ」
 その時だったと正直に述べるのだった。
「その時にな。御前の行動がおかしいと思ってな」
「それで悪いけれどついていって」
 このことまで話すのだった。
「それでなんだよ」
「未晴のこととあんたのことね」
「悪いとは思ってるけれど」
「そうか」
 ここまで聞いてこう言った正道だった。
「その時にか」
「ええ、それでなのよ」
「ああいうことになってるなんて」
「隠していたがな」
 正道は大きく息を吐き出した。そうして考える目になって。それからまた述べたのだった。
「仕方ないか。それも」
「怒らないのかよ」
 野本はその彼の顔を見ながら問うた。
「俺達によ」
「怒ってどうにかなるものでもない」
 こう返す彼だった。
「だからな。それにもう知ったらどうしようもない」
「あの、いいかしら」
 咲が目を顰めさせて正道に問うた。
「それで未晴だけれど」
「どうなのかは知ってるな」
「ええ」
 知っていると頷いて答えた咲だった。
「聞いたわよ、先生に」
「そのままだ。あいつは今は」
「それであれよね」
 奈々瀬は自分の歯で唇の裏を噛みながら。咲の後で正道に問うた。
「未晴はもう」
「いや、元に戻る」
 今の正道の言葉は断言だった。
「絶対に。戻る」
「はっきり言ったわね」
 静華は彼の今の言葉を受けてそのまま返した。
「見事って言うべきかしら」
「だから俺はあいつの側にいる」
 だからだと。また断言するのだった。
「明日もそれからもずっとな」
「じゃあさ」
「私達もそうしていいかしら」
「未晴の側にいていいわよね」
 彼の今の言葉を聞いた五人が。意を決した顔で言ってきたのだった。
「ずっと今まで未晴の側にいたんだし」
「今だってよ。いいよな」
「いいのか?それで」
 正道は鋭い目で五人に問い返した。
「あいつは今は」
「だからいいのよ」
「絶対に元に戻してみせるから」
「私達がいいって言ったらいいのよ」
 強引にこういうことにさえしてみせるのだった。
「だからそれで決まりね」
「うち等も一緒だよ」
「よし、それじゃな」
「俺達もだ」
 五人が言うと次は男組もだった。

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