アンジェロ その3
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狙う赤い根っこに、私は涙目で訴えた。
私は、怖くて怖くて、ギュッと目をつむった。
やがてどれくらい時間が経っただろう…、ゆっくりと目を開けると、仗助が私を抱きしめていた。
「じょうすけ…?」
「姉ちゃん。もうだいじょうぶだから。」
「さっきの根っこみたいなのは…?」
「消えた。」
空条さんがそう言った。
「あれが…私の…?」
「恐らくな。」
あんなモノが私の……? 弟も見境なく襲おうとしたモノが…?
「それより、コレだが…。」
空条さんが赤い茎の青いバラの花を持って、見せてきた。
「こいつは、仗助の体から生えてきたもんだ。」
「それどういうことっすかね? 身体から花を生やす能力?」
「いや…、コイツは…。」
すると空条さんが青いバラの花を、仗助の身体に押し当てた。すると、パッと青いバラの花が光の粒になって消えた。
「消えた!?」
「おそらくだが、それがお前達の祖父を生き返らせた仕掛けだろうぜ。」
「なんでそう思うんすか? じゃあ、ただの花じゃないってことっすか?」
「……俺は、11年前に、同じモノを見たいことがある。」
「えっ?」
「お前は覚えてないんだろうがな。ミナミ。」
「…えっ?」
なんだろう? この違和感は。
「それより、コイツはどうしますかい?」
仗助が立ち上がってアクアネックレスを閉じ込めた瓶を見せた。
「振れ。」
「あいよ。」
仗助が、思いっきり、瓶を振った。
「ぎゃああああああああああ!!」
外の方で男の悲鳴が聞こえた。
「本体は、あそこのようだな。」
雨降りしきる中、窓を開くと、近所に生えている木から吹っ飛んで落ちていく男が一人いた。
あれが、アンジェロ……。
私は思わず、まさぐられた体を抱きしめていた。仗助が心配してくるので…。
「ぶっ飛ばしてきて…! これ以上無いほど。」
「分かってる。」
仗助は、空条さんと一緒にアンジェロの所へ向かって行った。
二人が家を出た後、私はその場に体操座りした。
「……ねえ…、アナタは、ずっと、私の傍にいたの…?」
私は、部屋の中を蠢く、赤い木の根っこに話しかけても、答えは返ってこなかった。
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