第百十三話 返す刀でその三
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「これを使ってだ」
「そのうえで、でありますな」
「攻め落とす、そして鉄砲もだ」
こちらは三千丁ある、今の英雄達の軍勢の大きな武器だ。
「これも使うしな」
「攻めるにはでござるな」
「困らない」
「では」
「降ればよしだ」
あくまでというのだ。
「そして降らないならだ」
「その大砲や銃を使い」
「攻めるまでだ」
「そうでありますな、ではであります」
英雄の話をここまで聞いてだった、峰夫はこう提案した。
「城に向けないまでも」
「大砲や銃をか」
「威嚇で」
それの意味でというのだ。
「撃ってみますか」
「若し降らないならこの力が向けられる」
「その意味を込めて」
「そうだな、実際に攻めるよりもだ」
英雄は峰夫のその言葉に頷いた、そうして言うのだった。
「それで済めばな」
「いいでありますな」
「その通りだ、ではだ」
「これより」
「撃て」
大砲や銃をとだ、英雄は今確かな声で命じた。すると城の周りでその中にいる者達に対してこれ以上はないまでに聞こえる轟音が響いた。
それが効いたのか城の者達はだった。
使者の言葉に従いすぐに降った、英雄は城主を含めた全ての者達を助命しそのうえで一旦北ノ庄城に入ってだった。
戦後処理をしたうえで北ノ庄城に一万の兵を置き国境にも兵を置いて備えとしたうえで大坂への帰路についた、そのうえで。
言った通りの政を行った、すぐにだった。
安土に城を築きかつ西の備えとして姫路城を拡大することにした、そのうえで文武の人材を集めだした。
これはという人材の話を聞いて実際にそうした者達を呼んで会ってだった、それぞれの役に置く様にしていったが。
その中でだ、英雄はこう言った。
「敵だった者達でもな」
「能力があればですね」
「構わない」
こう謙二に言った。
「僧侶も然りだ」
「用いられますか」
「どうした者でもな、だからだ」
それ故にというのだ。
「老中や若年寄、そして奉行職にもな」
「敵であった者達も」
「置いていっている」
「左様ですね」
「そうだ、そしてだ」
それにと言うのだった。
「働いてもらう」
「かつての敵で背くことは」
「背く奴はわかる」
これが英雄の返事だった。
「目が違う」
「目ですか」
「目が暗い」
それがというのだ。
「その時には特にな」
「裏切ることに後ろめたさがあるので」
「悪だと思っていてな」
「だからですか」
「平気で裏切れる奴もいるが」
世の中こうした輩も実際にいる。
「そうした奴もな」
「わかりますか」
「実に涼しい顔をしている」
そうした風だというのだ。
「常にな」
「涼しい、この場合は」
どうなのかとだ、謙二もわかった。
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