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ある晴れた日に
549部分:柳の歌その十六
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柳の歌その十六

「それで何が」
「あるのかよ」
「慶彦さんもお義父さんもドラゴンズファンだけれど」
 これはもう絶対であった。
「阪神は嫌いじゃないのよ」
「最近そういう人少ないんじゃないの?」
 突込みを入れたのは竹山だった。
「結構」
「そうなの」
「ネットじゃ結構お互い喧嘩してるよ」
 このことを話す彼だった。
「それも汚い罵り合いでね」
「ああ、だよな」
「掲示板とかな」
「凄いものがあるよな」
 なお巨人に対しては言うまでもない。
「お互いにAAとか貼り合ってな」
「壮絶にやってるよな」
「だからだよ」
「もう最近どっちのファンも罵り合いがえげつないものになってるんだな」
「それかなり嫌なのよね」
 咲が顔を曇らせていた。
「実際のところ。わかるでしょ」
「よくね」
「客商売としては、ってことね」
「まあまだお嫁さんには入ってないけれど」
 それでもだというのである。この辺りの心構えはもうしている咲であった。それはまだ十六歳の女の子だということを考えるとかなりのものであると言ってもいい。
「それでも。竜党の家としてはね」
「で、ここは関西だからな」
「虎キチのメッカだからな」
「最近日本中にいるけれど」
 最早全国区になっている阪神であった。巨人がダントツであるという暗黒時代は最早終わっているのである。巨人こそが球界の汚物であるという認識も広まっている。
 当然その考えは彼等も同じで。言うのであった。
「咲はね、阪神嫌いじゃないのよ」 
 これは本当のことである。
「といっても中日も嫌いじゃないし」
「そういえばどっちも日本シリーズで破ってないか?」
「あっ、そういえば」
 皆このことにも気付いたのだった。
「ダイエー時代にどっちも」
「阪神は南海時代もだったっけ」
「そうなのよ。まあそれはあまり気にしてないけれどね」
 それでも日本一になれた時は嬉しかったらしく心なしかその顔を緩ませている咲だった。この辺りはまさに本当の意味での鷹党らしかった。
「結局巨人以外はいいのよ」
「他のパリーグの球団は?」
「別に」
 そちらもいいというのである。
「はっきり言って全然いいわよ」
「結局巨人だけか」
「うちのクラスって」
「巨人には無様な負けがよく似合うっていうけれど」
 巨人だけは、というのは実に徹底しているのであった。このクラスの特徴である。
「それでもまあ。今日は巨人は」
「ああ、負けてるぜ」
 今度は野茂が彼の携帯を見て言った。
「広島でかしたな。完封だよ」
「そう。それはよかったわ」
 明日夢にとってもいいニュースだった。それまで完全に憮然となっていた顔が幾分かだが晴れも見られるものに変わっていた。
「それじゃあ今日は巨
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