ターン13 太陽と月と罪と罰
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。もし何か壊れたら賠償は全部アンタら持ちさ……私の頼みだ、まさか嫌とは言うまいね?」
「ぐ……わ、わかったよ爺さん。あんたにゃ敵わんな、普通にデュエルしよう」
先ほどまでどこにいたのか、突然ふらりと現れて完全に朝顔を威圧する七宝寺。それは糸巻にとっては……いや、彼女と同時期に活動していた元プロデュエリストにとっては何も違和感のない光景だったが、この老人の前職についてそもそも知らない鳥居と、現役引退した元プロということは聞いていてもその全盛期の伝説を知らない八卦はただただ2人してこの百戦錬磨なテロリストが目の前の小柄な老人相手にぐうの音も出ずに唸るさまを見て目を丸くするしかなかった。
そして店の奥、デュエルスペースとして用意されたぽっかりと広い空間。あの時よりも観客ははるかに少なくはあるが、それでも鳥居は何となくあの裏デュエルコロシアムでの一夜を思い出していた。
「ま、やるとなったらやったりますか……『それでは皆様長らくお待たせいたしました、まずは自己紹介と参りましょう。私こそが当劇団の支配人にして目くるめく夢の世界への案内人、鳥居浄瑠にてございます。どうか皆様、末永くお見知りおきを!』」
演劇モードのスイッチを入れ、眠そうな印象すらも与えるいつもの瞳をぱっちりと開きオーバーリアクションと共に深々と一礼する。そんな突然の彼の変わりようにも、すでにその変化について聞いていた朝顔は驚きはしない。
「おお、悪いなご丁寧に。知っての通り……つっても知らねえんだろうなあどうせ。二色のアサガオ、朝顔涼彦だ」
そして互いに名乗りを終えたタイミングで、デュエルディスクのランダム機能が先攻後攻の順番をそれぞれ弾き出す。果たして先に場を固める権利を得たのは、朝顔の方だった。それを同時に確認し、ともに初期手札となるカードを5枚引く。
「「デュエル!」」
「さーて、まずは俺のターンか」
そう言いつつ、じっくりと手札を眺める朝顔。その様子を完全に傍観者として眺める糸巻の裾を、くいくいと八卦が引っ張った。
「ん、どうしたい八卦ちゃん?」
「あの、お姉様。朝顔さんって、どんなデュエリストなんですか?二色の……って、どういう意味なんです?」
少女が先日彼と遭遇した時、その相手となったのは相方の夕顔だった。そのため少女にとっても、これが初めて見る彼自身のデュエルとなる。しかし糸巻はそれに直接答えることはせず、軽く笑うと純粋な瞳で問いかける少女の頭にポンと手を置いて2人のデュエルがよく見えるように自分の横に並ばせた。これから始まるお楽しみ、その種を自分からばらすような無粋な真似はしないのだ。
……もっとも憧れの対象の真横という特等席を意図せずに手に入れ、さらにその体に密着する権利まで与えられた少女にとってはかえって
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