ターン13 太陽と月と罪と罰
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も事態は面倒な回り道へと逸れることになるのだった。
「久しぶりだな、七宝寺の爺さん。おーい巻の字、どうせここにいるんだろ?そこにいるガキ1人、引き渡して欲しいんだが」
当然のようにそう告げる髭面の男に、残念ながら糸巻はよく覚えがあった。何より、彼女に対してこんなあだ名で呼びかけるようなものは1人しかいない。
「朝顔……どうした、自首ならまた今度出直してくれや」
「おう巻の字、人の話ぐらいちゃんと聞いてくれ。まだ更年期には早いだろ」
朝顔涼彦。かつてのプロデュエリストとしての通り名は『二色のアサガオ』。それが、このスーツ姿の男の名前である。デュエルポリスを選んだ糸巻とは違うテロリスト加担組の1人であり……そして彼女は知らないが、それを知るものはここにもう1人いる。
折よくぱたぱたと小さな足音と共に、お盆に4つのコップとそれぞれ八分目まで注がれた緑茶を載せた少女が帰ってきた。
「お待たせしましたお姉様……あ、あなたは朝顔さん!?」
「あー、やっぱりここに居たのか。嬢ちゃん、つくづくツイてねえなあ」
仕方ないなあと言いたげな表情の朝顔とは対照的に、危うく手にしたお盆を取り落としそうになる少女。目を丸くするその表情から何かを感じ取り、ドスのきいた声色で糸巻が向き直る。
「……なんだ朝顔、お前こんな子に手ぇ出したのか?返事次第じゃこの場でしょっ引くぞ」
「嫌な言い方だなあ巻の字、いくらなんでも俺の性癖はもうちょい上だよ」
「そういえば、お姉様のお知り合いなんですよね。私も、昨日お会いしたんですよ。あの、朝顔さん。先日はお世話になりました!今日は師匠はご一緒ではないんですか?」
最初の驚きも過ぎ去って、元気はつらつに頭を下げる少女。仮にも彼は、目の前の少女に対し一方的なアンティを持ち掛け誘拐までしようとしていた男である。トラウマの発症ぐらいはかわいそうだが仕方がないと割り切ってこの場所に顔を出したのだが、さすがにこの反応は彼にとっても予想外だった。今度は朝顔がそのサングラスの奥で目を丸くしたのちやや居心地悪そうに頬を掻き、また糸巻に視線を移す。
「お、おう。夕顔の奴なら、今日は別行動だよ。あー、なんだ。おい巻の字、これもお前の教育か?」
「いんや、正直アタシもちょっと困ってんだ。アタシにはもう、この子はちょっと眩しすぎてな」
「あ、眩しかったですか?そうとは知らずに失礼しましたお姉様、照明落としてきましょうか?」
「……ほらな」
「心中察するぜ、お前さんも大変なんだな。と、今日はそんな話しに来たんじゃねえんだった」
ようやく本来の目的を思い出した朝顔がポンと手を打ち、店内を見回す。いったいどこに行ったのか、清明の姿はいつの間にやら店内から消えていた。
「おお、それだ。朝顔、な
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