ターン13 太陽と月と罪と罰
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っては、あの「BV」が一枚かんでるんじゃないかと思ってるよ」
「「BV」が?」
カードの精霊というファンタジー概念から、ここに来て再び自体は現実の脅威に急転換する。聞きなれた名前に眉をひそめる糸巻に、ため息をついて先ほどと同じ非難混じりの視線を送る。
「そ。多分あれであのカードを実体化した時に、なんかの拍子でその肉体側に精霊の魂が引っ張られちゃったんだろうね。実体化するソリッドビジョンなんて、まさかオカルト抜きの科学の力だけで完成させたところがあるなんて思いもしなかったよ。三沢……昔の親友だけど、あいつが聞いたらなんて言うのかね」
「そんなこと、本当にあるのか?」
「あるのかったって、実際あるんだからねえ。ただ少なくとも、今こうして幽霊騒ぎが起きてるのは本当。でしょ?」
当然の疑問を問いかける鳥居には肩をすくめ、あっさりと返す。
「さ、これで僕からの話はおしまい。そっちがこの情報掴んでるかどうかは知らないけど、僕はもう少ししたら行かせてもらうよ。今すぐ出てもいいんだけど、あの子はどうも日が落ちてからしか実体化できないみたいだからね。今行っても時間の無駄ってもんさ」
「はい!確かに私の調べたときも、確かに目撃情報は全部夜になってからでした。あの、私、お茶でもお持ちしますね」
席を外した八卦からのお墨付きを得て満足そうに頷き、ひょいと立ち上がる清明。そのままショーケースまでふらりと歩き、中身を外から順番に眺め始めた。完全に時間つぶしモードに入った彼を横目に、デュエルポリス2人が手早く声を潜めての打ち合わせにかかる。
「おい鳥居。どー思う?」
「いやいや、どう、って……そもそも喋らせたの糸巻さんじゃないっすか、上司なんだから自分で考えてくださいよ」
「ふむ。アタシの勘だとアイツ、なーんか嘘ついてるようには見えないんだよなあ」
「そりゃ俺も同感っすね。ただ、だとするともっとヤバい可能性もありますよ。あの話を自分で信じ切ってるマジもんの妄想癖とかもう、俺らじゃなくて精神病院の管轄でしょう」
「つくづくリアリストだなあお前。まあ、アタシも半分は同感だ。万一の時のために拘束用の手錠と警棒、ちゃんとすぐ使えるようにしておけよ」
「そりゃもちろん。ん?待ってくださいよ糸巻さん、ってことは……」
「ああ、しばらくはアイツの話に乗ってやるさ。正直なところアタシも今の話を信じてみたい気持ちが半分はあるし……もし奴が頭のネジ吹っ飛んだヤバい奴だとしたら、それこそ1人にさせとく方がまずい。何やりだすかわからんからな」
「あー、監視役ってことっすね。了解です」
あらかたの方針が決まったその瞬間を、ちょうど狙いすましたように。カードショップ七宝の扉が開き、スーツ姿の男がずかずかと店内に入り込む。そしてこの瞬間、またして
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