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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン13 太陽と月と罪と罰
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呼び戻すクイラと違い、インティ側の蘇生能力には破壊された「次のスタンバイフェイズ」というタイムラグが存在する。
 しかしそれは本来、プレイングによっては十分にカバーできる範囲のもの。現に先ほどのターン、朝顔は鳥居が敗北を回避するために使わざるを得なかったメタファイズ・ホルス・ドラゴンの効果を逆手にとってインティを送り付け、ドラゴキュートスで戦闘破壊することで特大の効果ダメージを与えつつ次のターンを蘇生したクイラで迎え撃つという理想的な流れを見せつけた。当然相手からの効果に頼らずとも、彼のデッキには能動的にインティを破壊してクイラに繋ぐカード、あるいは空いたフィールドに自分からクイラを蘇生し次なる破壊に備えるカードは盛り込まれている。
 しかし今この場においてそれらのカードは存在せず、あるのは太陽も月もないぽっかりと空いた空間のみ。星落としは、ここに成就した。

「『それでは最後のバトルフェイズと参りましょう。まずはLANフォリンクスによるダイレクトアタックです』」

 LANフォリンクス 攻1400→朝顔(直接攻撃)
 朝顔 LP3850→2450

「『そして最後を飾るのは、やはりこうでなくては締まりません。ドラゴンライダー・ビッグ・スターヴによるフィナーレの一撃……竜王のフルスロットルオベーション!』」

 上に乗った魔王がそのマントをはためかせ、スターヴ・ヴェノムが両足で力強く地を蹴って走る。上空からは光の柱でデビル・ヒールとファンキー・コメディアンがエールを送る中、最後に大きくジャンプしての人竜一体となって紫色の炎を纏っての突撃が真正面から朝顔に命中した。

 魔界劇団−ビッグ・スター 攻2800→朝顔(直接攻撃)
 朝顔 LP2450→0





「はー……勝ちましたよ糸巻さーん」
「おーう」

 演劇の時間は終わり、また素に戻ってのやる気のない勝利宣言に対しこれまたやる気のない返答。普段は真逆のくせにこういった妙なところだけ同調する2人に、デュエルディスクの電源を落とした朝顔がなんとも言えない表情を向ける。

「いやもっと喜べよお前ら、俺だぞ俺。二色のアサガオに勝ったなんて、一昔前ならそれだけで少しは自慢できるレベルだったんだぞ」
「うるせー時代錯誤のテロリスト。ほれ、用が済んだなら負け犬は帰った帰った」

 未練がましい言葉にも、しかし糸巻はしっしっと野良犬でも相手するかのように手で追い払うジェスチャーで返す。仮にも敵対する組織の、それも「BV」をナチュラルに持ち歩く重犯罪者にもかかわらず身柄拘束といった発想が一切出てこないのは、基本的に何かフォローの入れようのないことをやらかすまでデュエリストに対しその重い腰を上げようとしない、彼女なりの元同業者への甘さのなせる業だった。あるいはそれだ
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