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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
幼馴染との契約
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りと話し声とが、終着点を示唆していた。
後方のキンジとアリアとに向かって、振り返りながら『静かに』と視線を遣る。そうして傍らの通気口を指さして、『着いたよ』とも伝えてやった。話し声が、より明瞭に聞こえてきた。
後方の2人とも内容が気になるのか、それを聞こうと身体を前へ前へと持ってくる。側面をキンジとアリアとに挟まれながら──同時に痛覚をなるべく無視しながら──金属製の通気口、その向こうへと視線を遣った。そこでは予期通り、あの両者が言葉を交わしている最中だった。
「んで、だ。……あー、お前を呼び出したのは他でもない」
「……何の理由でしょうか? 綴先生」
椅子に深く腰掛け、薄い黒革の手袋をはめた手で葉巻を摘んだ女教諭──綴梅子は、いつものように物憂げな声をして白雪を出迎えていた。その葉巻にライターで炎を灯し、喫煙などとは教育上宜しくないのも厭わず、当たり前のように紫煙を燻らせる。こちらにも立ち上ってきた。
「ところでお前、実感してるだろ? 最近の自分の成績が、妙に下がってるってことをさぁ」
「……はい。重々、承知しています」
「まぁ、そんなことはどうでもいいんだけど──」綴はそう言い放つと、「本題は別にあるのさ」と黒のロングコートを正し、椅子の脇に手もたれながら脚を組んだ。
彼女の切り揃えた黒髪のあたりに、焦点の合っていないような瞳がある。口に咥えている葉巻も、市販の煙草だとは到底思えもしない。そうして気怠げな雰囲気を、常日頃から醸成させている──色々と要注意人物ではあるが、実はある1つにおいて非常に有能な武偵だ。
尋問科顧問の綴、武偵校では彼女はそう通っている。その肩書きで既にお察しではあるが、綴はどうやら国内有数の尋問官らしい。尋問で何をされるかは不明だが、尋問された者は総じて綴を女王だとか神だとか崇め讃えるというので──その真偽は問わないとしても、現に言われているこのカルトめいた奇譚が、彼女の天才と異質を物語る話の一片にはなるのではないだろうか。
「──単刀直入に言う。お前、誰かにマークされてんじゃねぇの? その不安とか恐怖とかいう重圧が一気に押しかかって、碌々として、星伽白雪は成績が下がった。ウチらとしてはこういう話になってんだ。これしか考えられねぇ、ってさ。……んで、どうなんだよ」
葉巻の先で白雪を指し示しながら、綴は先を促した。白雪も間髪入れずに返答する。
「
魔剣
(
デュランダル
)
……ですか」
「ほらぁ、ビンゴ」
溜息混じりの綴の声色が、この一件の危篤性を大いに示唆しているように思える。それに重なって、アリアが険しい顔をして息を呑んだのも、自分は聴き逃していなかった。
魔剣とはいわゆる、ある種の都市伝説的な存在として、この武偵界隈を震懾さ
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