400年の時を超え
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
回していただけますか?」
アキトはビビの腰に手を回し、より密着しながらダンスを続ける。
ここで遂にナミの我慢の限界を迎え、アキトの下へと向かう。
それと同時にサンジがとても悔し気に、まるで懺悔するが如く両腕を地面に付ける形で崩れ落ちた。
「う、羨ましいィ……!ナミさんとビビちゃんと踊るなんて、クソ羨ましいィ……!」
「……難儀なものね」
サンジの心からの叫びについロビンが呆れに近い言葉を呟く。
彼女の言葉には少しばかりの哀れみの気持ちも混ざっていた。
「でも……!」
「……?」
「アキトだから恨めねェ……ッ!!」
「……」
ロビンはサンジに対してツッコむのを止め、読書を再開した。
向こうでは今や、アキトとナミがキャンプファイヤーの炎を背景にダンスを踊っている。
ビビは驚く程素直に引き下がり、アキトとのダンスの相手をナミに譲った。
善意故の行動ではない、それは心ゆくまでアキトとダンスを踊ることが出来たことへの余裕の表れであった。
少なくともナミにはそう感じられた。
負けていられない、ビビ以上にアキトとダンスを踊り続けてやる!、ナミは不屈の闘志でそう決意した。
「ビビにダンスの指導を頼めば……」
「駄目よ」
「いや、一緒にビビに教えてもらえば……」
「駄目よ、アキト」
今は私と踊っているのにビビに教えを乞うとは何事かぁ!
アキトの提案を一蹴し、ナミはアキトの手をより一層強く握り、ダンスを続行する。
「あ……」
「……っ」
「ご、ごめん、アキト」
「大丈夫だ、問題ない」
だが、初心者同士であるため、ステップに失敗し、ナミはアキトの右足の小指を踏み付けてしまう。
鍛えようがない部位を踏まれたアキトは内心で悶絶しながらも、平静を装う。
「じゃ、じゃあ次は私の腰に手を回して」
素直に首肯し、アキトはナミの腰に手を回す。
それだけのことでナミは多幸感に全身を包まれ、先程のビビに対する対抗意識は吹っ飛んでいった。
我ながら単純だとは思うが、それ以上にナミは空島という幻想的な島でアキトと踊ることが出来ているこの状況が嬉しくて仕方なかった。
しかし、そんな彼らのキャンプファイヤーへと招かれざる客が姿を現していた。
「青海の"しちゅー"という食べ物と言ったか……」
美味ではないか、とその男は豪快な様子で残りのシチューを平らげる。
異様な長さの耳朶を誇る謎の長身の男は空となった鍋を乱暴に地面へと放り投げた。
「美味であるが故に、特に神への献上を赦そう」
その男は頭に白い水泳帽の様な帽子を被り、背中からは太鼓が生えている。
アキトはナミとビビを庇う様に彼女達の前に立ち、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ