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ある晴れた日に
543部分:柳の歌その十
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柳の歌その十

「それも」
「だったら作ってるのも当然か」
「五人に話してみるわ」
 また言う恵美だった。
「あいつの好きなものをね」
「羊羹とかカステラとかだな」
「そう、それを話しておくわ」
 こういうことだった。
「それじゃあ」
「そうするか。じゃあとりあえず携帯でメールでも送るか」
「咲がいいかしら」
「いや、五人全員に送った方がいいな」
 佐々はその方がいいと言うのだった。
「あの連中いい加減だからな」
「いい加減ね」
「だからだよ。全員に送ってもまだ不安があるぜ」
 五人についてあまり信用しているところのない佐々だった。そしてそうした感情は一切隠していなかった。そのうえで話しているのだ。
「あの連中だろ?」
「それは言い過ぎじゃないかしら」
「っていうか竹林があの連中のお母さんだったからな」
「お母さんね」
「だからな」
 言葉を続けていく。
「その竹林の話だしな」
「本来なら未晴にだけ連絡すればよかったのね」
「けれどあいつがだからな」
 だからなのだった。五人全員に連絡しようというのである。恵美が携帯を出したのを見ていてそのうえで話をしていくのだった。
「全員にするか」
「わかったわ。じゃあ五人に送るわね」
「俺からも送ろうか?」
「流石にそれはいいと思うわ」
 それは止める恵美だった。
「やっぱりね」
「わかったよ。じゃあそれで頼むな」
「ええ」
 彼の話を聞いて頷く恵美だった。そうして早速メールを送った。するとすぐに返信を知らせるその着信音が返ってきたのであった。
「わかったって」
「全員か」
「ええ、五人共よ」
「本当に大丈夫なのかね」
 まだ信用していない佐々であった。恵美の携帯を見て怪訝な顔になっている。
 しかしだった。返信は返って来た。そのことにやや安堵してそのうえでまた言った。今度の言葉は。
「じゃあ帰るか」
「そうね」
「目的は果たしたしな」
 ならもう病院の前にいる必要はなかった。そういうことだった。
 二人は別れの挨拶をしてからそれぞれの帰路についた。恵美は夜道を歩いていてある男と擦れ違った。その時だった。
「!?」
 その瞬間にだった。全身に悪寒が走った。妖気に似たものを感じてだ。
 思わずその男の方を振り向いた。しかしその姿はもう闇夜の中に消えていた。もう何処にも見えなくなってしまっていていたのだった。
「何なのかしら」
 冷静な彼女も今は怪訝な顔になっていた。
「今のは」 
 だがそれを確かめる術はもうなかった。彼女は怪訝なものを胸に抱いたまま家に帰った。そうしてまた次の日の話になるのであった。
「メール来たけれど」
「それでどっちかっていうのよね」
「羊羹かカステラか」
 それぞれ恵美に対して
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