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【完結】Fate/stay night -錬鉄の絆-
第015話 3日目・2月02日『弓兵の告白と剣兵の誓い』
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たんだ。
何もかも失ってただ息をしているだけの生きた死体だった私に新たな命と理想を吹き込んでくれた切嗣には感謝している。
そしてなにもわからず、しかしそんな俺に最後まで尽くしてくれたセイバーには…道を示してもらった。
だから俺は死ぬ最後まで正義の味方を頑張ることができた…」

そう語るアーチャー。
しかしそう語りながらもアーチャーの顔には先ほどとは違い苦悶の相が浮かんでいる。
まるで偽りのような、壊れそうなそんな表情…。

「しかし、私は………ッ!」
「いいんだセイバー。俺は決して憎んでいない。だが、それでも君がやりきれない思いに押しつぶされそうになっているのなら………君の事を許そう」
「えっ…?」

許す? 私を…?
こんな罪に汚れきってしまっている私を…?
許されていい物なのか?
こんな甘い誘惑に踊らされていい物なのか?
しかしアーチャーの顔には今度は嘘偽りは一切なかった。
本気で私の事を許そうとしている。

「よろしいのですか…? こんな私が許されても?」
「ああ。いいんだ」

それだけ言ってアーチャーは儚い笑みを浮かべた。
それで私とアーチャーの視線が重なり不思議な気持ちにさせられているところで、

「…―――おほん」
「「ッ!」」

キャスターのそんな咳払いで私とアーチャーは現実に呼び戻された。

「私の事は無視しても構わないわよ? だけど勝手にいちゃつくのだけは勘弁してくれないかしら。砂糖を吐きたくなるわ」
「いちゃっ!? き、キャスター! な、なにを!?」
「そ、そうだぞ。決していちゃつくなどと…ッ!」

それから数合言葉を交わしてなんとか気分も落ち着いてきた。
するとアーチャーが、

「しかし、不思議な縁だとは思わないかね?」
「縁、ですか?」
「ああ。セイバーは聖杯があれば必ず召喚されるようなものだが、私はただ巻き込まれただけだ。それなのにまずは第四次聖杯戦争で被災者となり、第五次聖杯戦争ではマスターとなり、さらには今こうして今度はサーヴァントとして聖杯戦争に関わっている」
「そうね。それだけでアーチャー、あなたは十分聖杯と縁があるのでしょうね。そして最後に志郎様とも運命的な再会を果たしている…。
アーチャー、志郎様にこのことは…」
「できれば黙っていてくれないか?」
「しかし、アーチャー…それはあまりにも」

そう、せっかく巡り会えたのに他人のように振る舞うなど。
そうも思ったがアーチャーはリンに説明したという会話を私達にも教えてくれた。
それを聞いた後は『確かに』と頷くことしかできなかった。
アーチャーの記録と記憶にシロの事は一切ないのだ。
だとしたらこんなに残酷なことはないだろう。
だから私とキャスターはアーチャーの気持ちを汲むことに
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